第288話月の見えない空
「シャライ」
「大丈夫ですよ。逃げ出した訳ではないでしょう」
夜遅く、集落の集会場に集まる、村長とシャライ。ダイスが集落を抜け出した事でシャライが呼び出された形だ。
「ほぅ。根拠はお主の歌紡ぎのアレか?」
なにやら面白い物でも見つけた子供のように言う村長。
「内容は語れませんが、その通りです。今回の事も気付かないフリをするのが良いわ。彼とは利用するような真似は避けて、相互利益がある方向で進めるのが良いでしょう」
「お主がそう言うのであればそうなのだろうよ。して、アレは何をしに出て行ったと思う?」
「予想は二つあるわね。こっちはほぼ無いと思うけど今回あからさまに彼を利用しようとしたから、逃げ出した。これをするなら彼女は置いていかないわね」
「そうさな、聞くに交友のある長の娘なのであろう?捨て置けんわな、してもう一つはなんじゃ?」
「能力の秘匿の為に一人で狩りに出掛けた」
「あの魔族の群集にか?2000はくだらんぞ。それに、距離とて遠い」
「ええ、そうでしょう。これ以上は語れないけど、結果で察してとしか言えないわね」
「そりゃ楽しみじゃわい。しかし、残念じゃな。折角わし等と噛み合わせの良い奴なのに。共闘したかったのぅ」
夜空の風が冷たい。上空を高速で移動してれば当然だが。本当に今宵の天候は都合が良い。月明かりが無いのだ。俺は夜目の魔術で問題は無い。エルフの間では一般的な魔術だそうだが、本当に都合が良い。
さてさて、篝火が見えてきた。結構大規模な群集だな。
まずは群集を囲む様に間隔を空けて魔術による足場と転移符を設置する。その後は中心から外へ向けても同様に同じ作業をする。
完成した。さぁいつものように狩りを始めようか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます