第250話終結
あれから2ヶ月。例の使者と幼子の二人は早々に帰って行った。支援物資を置いて。
向こうの王との交渉は困難を極めるかと思ったが、正直拍子抜けだった。例え違う組織の行動とは言え、侵略軍を派兵したのだ。植民地としてどれだけの場所が接収されるか、それを交渉でどの程度に抑えるか、それが我々の一番の懸念であった。
しかし、あろう事か向こうの言い分はこうだ。此度使った費用を20年以内に賠償せよ。これには支援分も含む。これだけだ。あまりに無欲。何度か聞きなおした。
すると、では少しだけ土地を頂こうと言って、国境の砦の周辺をと要求された。確かにその位置を手に入れれば守りやすくもなるだろう。ただそれだけだ、その土地自体にこちらとしては大した価値は無い。
それで済むならありがたい。
こうして難航を極めるかと思った国家間でのやり取りは想像を遥かに超えて軽微な損害で済んだ。無論不利な条約は幾つか飲まされたが、痛手と呼ぶには・・・痛くはあるが小さい、一部の自由貿易くらいだ。
一番に念を押されて出されたのは宗教に権力を持たさない事。これを強く言われた、他がオマケといっても良いくらいにその項目だけは細かかった。
そして、その公約は両国民に広く正確に伝える事。
全てをこなした結果何が起こったか、かの王は自国民からの絶大な支持とこちらの国民からの信頼。そして何より、残党が国民の手により駆逐される環境ができた。
もうこの地では、本当に真っ当な宗教以外は成り立たない。
本当にやってくれる。
面倒事は終わったようやく俺は自分の生活に帰ってきた。今はコボルトと遊んでいる。木で作ったフリスビーの様な物を投げてな。完全にワンコである。
途中でヘスが興味を持ったようなので投げる役を交代して俺は家へと戻る。
戻ると周囲の一部は畑と化している。無論俺の仕業だ。いつかはこれを妖精達にやってもらう必要がある。俺は、いや、人間の寿命はさして長くない。自給自足する必要があるのだ。
土の改良、水源は十分にあるがある程度水を引く必要もある。やる事は山済みだ。
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