第242話天からの
黄昏時と同時に民を整列、そしてそのまま門の外へ出した。半時間ほど経過しただろうか、それは起こった。
予告通りだ。城の真上の空に滝が出来ている。それもかなりでかい、ありゃ城はもうだめだ。排水が間に合う訳がない。仮に間に合うだけの設備があったとしてもこの盆地で城壁に囲まれ、さらにその外都市にまで壁があるここがどうなるかなど火を見るより明らかだ。
本当に洗うのかよ。だがまぁ良い少し猶予がある事がわかった。逃げる方針も決まった。目指すは少しでも高い山の方向へ向かってだ。
「閣下、民がパニックを起こしております」
見れば後ろの方が騒がしい。ええい、この忙しい時に。
「俺自ら行く。貴様は連れて行ける者だけでもつれて少しでも距離を稼げ」
俺は最後尾の混乱する連中に。
「じずまれぇ」腹のそこからできる限り大きな声で怒鳴った。
「俺の今までは貴様等が一番知っているだろう?何故あの城塞都市の外に出て今避難する事が出来ている?俺に従ったからだろう? 少しでも生存確率を上げてやる。俺より自分の勘を信じると言うなら止めはせん。今話してるこの時間ですら惜しいのだ。次は容赦無く置いて行く」
それだけ言うと俺は前列へ戻る。
「置いて行くねぇ」 部下の分隊長ハルトは意味有りげに笑う。
「本気で置いて行く、今回は予想が付かん。お前を助けた時とて、ギリギリではあるが、勝算とリスクを考えた上でだ」
「計算高いですもんねぇ閣下は」他の部下も仕事はこなしながらだがこんな感じだ。
俺のような転生者が何故このような不相応な呼び方かと言うと。功績だ。
功績を挙げれば、当然地位も上がる。上がれば妬みも買う、それが上の立場なら当然無茶な仕事が飛んでくる。それこそ生還不可能と言われた戦争を幾つこなした事か。
何故生き残れたか。スキルと先人の知恵だ。能力に関しては物資を運ぶさい最高のパフォーマンスを誇る能力普通の収納系と違うのは出す場所を半径500メートルまでなら好きに出せる事だ。
先人の知恵ってのは、戦場の状況が前世での先人達の戦略を使うのに適した盤面だから使ったまでだ。無茶振りをこなして行くうちに、軍部ではほぼ上はいなくなっていた。
民からの信頼もそこそこ高い。生存率の高さのせいだと勝手にうぬぼれているが。
日が完全に落ちた頃水音は止まった。どうやら助かったらしい。次は反乱軍にどう接触するかだ。
あの様子じゃ城砦都市は壊滅だろう。追手がこないのがせめての救いか。
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