第221話オーダーはパン
「で?どんな物を作れば良い。カテゴリーくらいは決めてくれ」
「パンでお願いします」迷い無く言った。
「意図を聞いても?」
「パンは技量が出るからです。そして大きな差が出にくいのもあります」いやいや出るだろう。それこそ天と地程の差が。しかし、それなら丁度良い物が空間庫にある。生地を作るのに半日近い時間を要した。お披露目するのも良いだろう。
「材料は全てこちらの物を使う。既に生地はあるからな、値段はそちらの判断に任せよう。窯を借りるが良いか?」
「ここで作らないのかい?安心しな誰も覗きはしないよ」
「おばちゃん、そこは心配してねぇよ。仕込みで半日近く掛かるから出来合いを使うだけだ。そこの兄さんの話しぶりからすればこの辺には無い物だと思うぞ」
「半日もかい。それは期待できそうだね」
「じゃあ。厨房を借りるぞ」
空間庫の物は時の流れが非常に遅い。予想だが本当に使いこなせれば時は動かないと思う。だからこその芸当な訳だが。今回のメニューはクロワッサン。面倒を具現化したようなパンだ。
途中までは普通のパンと変わらないのだが。バターを織り込む過程で面倒が生じる。何度も冷す必要があるのだ。バターが溶けない為なのだろうが。数回伸ばして織ってこれを数回繰り返す。半日は大げさだが時間泥棒なのは間違いない。
形成二次発行までは既に済んでいる。後は卵黄を塗って窯に放り込むだけと言いたいが。ここは現代ではない。温度調節などは自力だ。最初は何度失敗した事か。
今となっては問題ない。そうして出来たものを持っていく。店自体は夕方と予約のみらしいので客はいない。
三人は俺のパンを口にした。反応は予想以上。イケメンは完全に興奮してる。海外の反応とか名目で動画サイトに落ちてそうな反応だ。日本人には無い。オーバーなリアクション、大げさなとも思うが作った身としてはやはり嬉しい。
出来合いで良いから売ってくれと夫婦の商人とイケメンシェフに言われたので30個ほど追加で焼いて渡した。
金も頂いた。商人としての実績は十分だろう。あの夫婦クロワッサンを何処かに持っていくつもりだろうし。名は勝手に・・・名乗ってねぇ。アブねぇ、無駄打つところだった。
「そういえば名乗ってなかったな俺はダイスだよろしく頼むぜ」
それから、俺はシェフのイケメンと料理の話をしたり。夫婦の商人と特産品の話をしたりして過ごした。
お陰で何処を狙えば良いかよ~く分かった。次の行き先は教国直轄の庭園及び果樹園に薬草園だ。ついでに食料庫もあるだろうからその物を頂くとしよう。
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