第204話苦行
かなり高く付いたが、自衛が出来ると思えば安いのだろうか?
レイウスに部屋を借りると「その奴隷はどうするので?」と問われたから「上手く行けばだが、儲かるようにするのさ。男の俺だと何かと不便なんだ。こないだの髪の件を覚えているか?」
「アレには驚いたよ。それが?」
「アレを全身にやるのさ。だから男ではどうにも不便なんだ。やり方さえ教えてしまえば良い。そうだろう?もしあの二人が上手く覚えたらリーシャさんに是非体験して頂きたい」
「妻がますます美しく・・・是非お願いしたい。しかし、ああ。宣伝ですな」
「御名答。リーシャさんが知り合いに会うたびにその知名度だって上がっていく。本来なら金貨の1枚は取る所だが、無論不要です」
「腕の良い仕立て屋や宝石加工職人なんかがたまにやる手法ですな。実に興味深い」
「そういう事だ。貰った店でも良いが、あそこだと情報が伯爵様に筒抜けだ。そういう訳で申し訳無いけど、数日あの部屋を借りたい」
「貸すのは構わないですが何故物置を?あそこは立て替える予定なんだ」
「それを聞いたからこそさ。多少の無茶もして良い場所といったらリーシャさんが勧めてくれてね」
「妻がですか。通りで、そういう事なら好きにしてくれて構わない」
その代わり期待してるよとニヤリと笑った。本当に期待しているのだろう。
その後会話は続き。洗髪の効能に薄毛のリスクを減らすと言う話しをすると。物凄く食いついた。なんでも貴族様方は未来に(頭髪)に不安がある人が多いのだとか。
そうした後。物置についた。既に二人は俺を待っていたようだ。早速始めよう。
「まずはマイン。服を脱げ。最悪下着は付けていても構わない」
「あいよ」
見事な脱ぎっぷり。体の感想より先に思ったのは傷、傷、傷だ。どうやったらこんなに傷だらけになるんだ? 胸は一部損傷しており、噛み傷、刺し傷、切り傷。火傷。その傷がどれだけ苛烈な環境にいたかを物語っている。 まあ良い。とりあえずは。
「そのままこっちに来い」
「ほい来た」
本当に恥じらいが無い。清清しい程に。だからこそありがたい。俺はポーションを傷痕に塗りこむ。ルイ特製の奴だ。相変わらず面白いくらいに効く。見る見る傷は無くなり、終わる頃には傷は全く見当たらない。
「マインの体が」リズが突然泣き出す。
「治しちゃまずかったか?」
「嬉しくて。マインの傷は私を庇った時の物が多くて・・・」
「前衛が後衛の盾になるのは普通だろ?私は詠唱終るまで時間を稼いだだけさ。とは言え驚いたよご主人様。ああ、言いにくい。他に呼び方は無いのかね」
なんだろう?女性にこういうのはないんだが実に男らしいなマインは。
「ダイスで良いさ。まずはこの中に入れ」俺は自作の風呂を取り出し。湯で満たすとマインを入れた。
「リズ。見ておいてくれ。こうやって人の汚れを浮かすんだ。マインその温度を覚えといてくれ」
「はい」「あいよ」二人からの返事がくる。
10分程経ちマインを上げる。
「いやぁ気持ちが良いねぇ。お貴族様に入る奴がいるってのも納得だね」
「そいつは良かった。次は浮いた汚れを擦り落とす。マインその台座に寝そべってくれ」
さて、ここからは俺との戦いだ。商売の為と言いながら前かがみで作業してたんじゃ格好が付かん。木目の粗い布で擦っていく。垢すりだ。全身にやっていく。面白い様に取れる事取れる事。この辺の知識は知識(補助)のお陰である。
手に伝わる感触と視界に映る暴力的な物から何とか耐えながら、なんとか垢すりを終える。マインが筋肉質だからまだ良かったが。リズはやばそうだ。そしてマインの見事な腹筋を見て、何で俺は鍛えてるのにこうならないんだと凹んだ。
もう一度お湯を変えてマインを風呂に入れる。
さてこれからが本番だ。
「ここから先は俺も知識でしか知らない。見よう見まねと言っても良い。いずれ教本も準備する。それまではこれを手本としてくれ」
体を拭いたマインを台座に寝せ。俺で調合したオイルを塗っていく。まぁ領地の花から出来た精油とワインの酒造をしている所から集めた種で出来た油を混ぜ。ほんの少し妖精の実の種から取った油も混ざっている。
見よう見真似でエステっぽい動きをして行く。マインは気持ちが良いのであろう。ため息を付いている。妙に色っぽいので止めてほしい。
この日なんとか終らせる事が出来た。マインの前の方のマッサージとリズのマッサージは自分の認識の甘さを呪ったが。親父の顔を思い浮かべながら何とか耐え切った。サンキュー親父。
後は同じ要領でマインとリズ相互にやってもらった。
こう言うのは二度とごめんだ。そして俺偉い良く耐えた。
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