第194話報酬はでかいが・・・

 そこからの話は早かった。あの貴族は問題がこれでもかと言うくらいあるが。派閥の問題等から、手を出し辛い相手らしい。向こうとしても伯爵は潰したいそうで、前回のリシャー商会を護衛したときに襲撃が多かったのも、商会と伯爵が強い繋がりがある為だ。



「話は分かりました。しかし、あの貴族自身が襲ってこなければ同じでは無いですか?それでは釣れたとしても、尻尾を切って逃げてしまいます」



 本人が攻めるなど愚を俺なら犯さない。貴族という立場にあるのだから、足がつかない捨て駒を使えば良いだけである。



「君の様に賢ければそうするだろうね。しかし、相手は愚かだ。更に魔術師としては一流でそれに絶対的な自信持っているんだよ。俺は王国筆頭魔術師にも勝ると言い放つ男だからね」



 まてまて、それでは話しが変わってくるじゃないか。相手が馬鹿なのは良い。しかし力ある馬鹿なのは良くない。この伯爵の前ではあまり手札を見せたくないしな。



「勝てるのですか?」



「勝てるとも、僕もそれなりとは自負してるし、ガルもいる。君がいれば十分だ」



 え?待て待て今なんと?


「何人で迎え撃つおつもりで?」




「3人だよ。な~に問題なく上手く行くさ。君が本気を出してくれればね。無論保険はあるから安心してくれて良いよ」



 おかしい。俺が保険って言ってたじゃねぇか。もう、この伯爵嫌。



「報酬の件を聞いてませんが、これだけのリスクを負うのです相応の物を頂けると?」



 ほんと割に合わない様なのだと逃げるからな。



「勿論だとも。まずは当家の印が入ったナイフ。商人ならこの意味はわかるだろう?」



 俺を保証するって事ね。堂々とこの大陸を渡り歩ける訳だ。これはありがたい。



「それと店を一つだね。僕の領地のど真ん中の一等地さ。どう扱うかは自由。これだけの好条件は中々お目にかかれないよ?」



「流通が目的ですか。こちらに益があるのは確かです、力が及ぶ限り尽力する事を誓いましょう」



 手札を晒す事はほぼ確定か。さて、問題は何を切るかだ。

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