第187話プランBで

 さてどうするか。あれを島に招く・・・いやもう一つある。


「もう一度確認します。ある程度の安全があればいいのですよね」



「その通りです」彼女は頷く。


「俺の知り合いにある国でそれなりに顔が利く商人がいる。そこで暮らすのはどうだ?それならそこまでの対価は要らない。しかも、ある程度の自由がある。どうだろうか?」



「その国とは?」



「巨壁の国だ。その商人ならば安全にそこへ移動する手段だってあるだろう」



「確かに遠くはありませんが。龍の山はどうするのです?」



「その商人の強みは龍との交易がある事だ。ドラゴンも協力的で背に乗せてもらった事もあるそうだ」




 島につれて行くのはやはり嫌だこれが最善だ。・・・本当の最善は見捨てるなんだろうけどな。子供に罪は無い。偽善ではあるが、このくらいなら許容範囲だ。




「成功報酬で無事に巨壁の国に着ければ金貨10枚で結構です。後は紹介する商人と話し合ってください。一月以内にこちらに来るように手はずは整えます。あとは貴女の交渉次第です」



 こうして依頼は半分終った。




 彼女は部屋を出て行くほぼ同時にガウと総長が入ってくる。


「ダイス君依頼はどうだったのかな?」



「厄介な依頼をありがとうございます。知り合いの商人を通して安全なルートである国に行って頂きます。そこでなら希望に添えるでしょう」



「何処かは教えられないのかい?」やはり依頼人を出汁にして俺を探りたいってのもあるのだろうな。あくまでそれとなくではあるだろうが。



「巨壁の国ですよ。あそこで活動している商人に知り合いがいましてね、そこを頼ろうと思い立ったのですよ。あの国なら立地的にまず依頼人がそこにいるとは思いますまい」



「そうだね、龍の山を越えるのは自殺行為だからね。もし、それが出来るとなればそれだけで莫大な利益が出るだろうね」



「その莫大な利益を交通料金として納めて成功したそうですよ」



「それを聞いて安心しました」



 なにを安心したのやら。



 ガウはさっきから一言も喋らないし。さっさと切り上げて下準備に取り掛かろうか。


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