第137話雨の都へ向う

 爺さんと別れて町に向かう。通常業務を行う為だ。妖精達への食料の仕入れ、ルイへの納品などやる事が多い。


 この町ではもう、それなりに顔が知られている。あくまでそこそこの商人としてだが。が、それが災いした。手配書が回って来たのだ。せめての救いは犯罪者への手配ではなく、探し人用の物な事だ。



 当然取引先の人々からは心配される。仕官を強要されそうになったから、逃げてきた。と、嘘ではなく本当かと言われれば微妙な返事をすると納得してくれた。



 大体、一人で行商人が成り立ってる時点で、優秀なのだ。この世界の道中は、一人で旅するには危険すぎるのだから。武官として欲してもなんらおかしくないのだ。


 12人これを説明した取引先の人だ。正直疲れた。真君(笑)は何かしらの落とし前を付けていただきたい。



 結局全ての仕入れと納品を終わらせるのに3日を要した。




 次は何をするか、まずは移転符を起動。向う先は、妖精の森跡。移転符を回収しときたかったし丁度場所も良い。目的地は水神の都とも言われる雨の都市アヌラだ。



 ついでにこの森の土を幾分か拝借しよう。あの不毛の地を多少でも改善できるかもしれない。魔術を行使しながらといえ、かなりの重労働だなこれは。半日程土集めをして夜を待つ。移動は夜が良いのだ。夜に紛れて空を移動するのが一番早いのだから。




 移動を開始して国境の砦を越えた辺りで、空が白み出して来た。ここからは地上を移動したほうが良いだろう。




 巨壁の国では、泉跡の調査が行われていた。ダイスが買う理由が分からないからだ。調べに調べ出た結論はやはり何も無い。一切の価値を見出せないと言う結果だけ。拠点を置くにも建物を建てるには適さない。文官と王は、首を傾げるばかりであった。






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