第114話移住開始

「さて、ここからは支払いについて話そう。君はギルドにポーション、あるいは実その物を売ろうとしてるね? それが君の唯一の報酬だ」



「その通りだ」



「案外素直に話したね、そこでだ。その取引を引き継ごう。ポーションもこちらが作る.。売り上げの半分を君に。もう半分をこちらの返却分としよう。どうだい?」



 直接取引に向わなくて良いのはありがたい。しかし、ルイのメリットがあまりにない。



「こちらは助かる。しかし、ルイへのメリットがない。それで良いのか?」



「あるとも、これで君とは確実に会える。欠片の事もある、正直縁が切れるのは避けたいんだよ。君さ妖精達の事が無かったら、二度と近寄ろうとはしなかっただろう?」



 図星だ、気まずいってだけなのだが。



「それにだ、僕にポーションを作らせれば、売り上げは倍じゃすまない。効能が天と地ほどに差があるからね。この世界の未熟な知識で、出来た物等素材の無駄さ。返済も早く終わる、良い事しかないだろう」



 成る程、ルイは金等実際はどうでも良いのだろう。必要なのは、欠片を読み込める事。十分すぎる対価だ、こちらも答えるしかない。



「よろしく頼む」ルイと握手を交わす。




「そうと決まれば、引越しをした方が良いのではないか?妖精にだって準備はあるだろう。転移符は繋いで置いた。後は好きにすると良い」



 そう言うと、先に帰ると言い残し、ルイは行ってしまった。



 妖精達の事は出来るだけ急ぐ必要がある。急ごう。



 転移した先は、妖精達の場所だ。すぐさま精霊の少女の元に向かい準備が出来た事を伝える。



「そんな場所が・・・良いわ、まずは私をそこへ連れて行きなさい」


 確かに説明するより見せたほうが早い。百聞はなんとやらだ。



 着くと、精霊の少女は目を丸くして、辺りを見回した後、周囲を飛び回る。少し偉そうな少女だったが。今はただ見た目相応のはしゃぐ少女だ。どうやらお気に召した様子だ。



 一通り飛び回った後、少女は、俺の元へ飛んできた。



「素晴しい場所ね、ここ、私達が住む所としては最高よ。すぐにでも移住に取り掛かりましょう」



 満面の笑みである。



「あと、それから、私達と共存関係にある動物も一緒にいいかしら?」



「どのような動物でだ?」


「蜂と小鳥よ」



 なんでも、妖精の実に付く害虫を食べたり、その花の蜜を吸う代わりに蜜をくれるそうだ。養蜂のような物だろうか? どちらにしろ問題はないと思う。



「分かった。しかし、あまり時間は無い、急いでくれ」



 そうして、小さな住人達の移住は始まった。

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