第105話起きるとモフモフ

 よほど疲れていたのと、ここに害意や悪意とは無縁だったのだろう。これだけ密着されても気付かずに眠る自分に驚きだ。身動きが取り辛い。



 何とか抜け出すと、俺は念話符を取り出し、ルイに連絡をした。



「良いタイミングだね、こっちから連絡しようと思ってたんだ。まずはそっちから聞こうか」


「こっちの用事は単純だ。転移符の一枚を設置する場所を決めた。パスを繋いでもらえるか?」



「了解、こっちに戻ってくるって事で良いのかな?」


「商売的に必要なんだ。 それで? そっちの用事は」



「君が帰ってきてからで良いや。息子についてとだけ言っておくよ」



「挨拶をしたらそちらにいく」



 こうして俺は出て行ってそう経ってもいない場所に戻ることになった。







 その頃、アーサー率いる軍は何とか敵を押しとどめている。確かに火縄銃といった銃火器は強力だ。だが現代の銃を相手取るのに比べれば遥かに楽だ。



 アーサーは砦に篭るのではなく。周囲の地形を大量の土属性の魔術士を使い、有利な地形に変えたのだ。これは魔術がある世界だからこそ、成立する話である。




 やってる事は単純で現代世界でも使われている手法でもある。地面に通路を作り、そこから弓で敵を倒す。実に単純であるが、魔術を使う長弓兵の射程は300メートルを超える。射程だけなら負けないのだ。



 無論数は少ない、その数の差や武器の差をこの策が埋めた。不必要に近寄れば、クーフーリンが急に飛び出し、電光石火で敵を屠る。その時は敵を壁にしながら戦う事を忘れない。



 立地上囲まれる心配も無いので、補給が尽きることは無く、やや有利にそれでようやく敵を一時撤退させる事ができた。

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