第54話再会

 村人に仲間が来ていると聞いた。仲間などいない。いたとしてそれは過去の話だ。リュートも話を聞いて。


「ダイス、お前はアズールへ行く途中だったはずだな。何故お前の仲間がここにいると知っている?」



「俺には仲間なんて者はいない。いたとしても、あまりに不利益を被りそうなんで、別れたよ。大方俺の技術や知識が狙いだろうよ」



 最悪殺さないとならない。3人と言うのが気になるが、リュート達もついている。なんとかなるだろう。



 待たせてる場所に向うと。



「久しぶりですね、ダイスさん」



「やっほ~」



「見つけた・・・」



 スロート、ミル、レイナの三人だ、忌々しい脳筋はいない。しかし、何故だ? 前衛無しでこの森はかなり危険なはず、リーダーも不在。




「良かった、話は聞いて貰えそうですね。良く聞いてください。まずダイスさんは王家より、捜索の命が僕達が元々いたパーティーに出されています。表向きはオーガ討伐の一番の功労者への褒章、実際はどうやってあれだけのオーガを仕留めたか、聞き出し、その力を手に入れるでしょう」



 早い、あまりにも早すぎる。王家だって暇じゃない。それ以前にそれだけの伝達速度があるとは思えない。



「あまりにも早くないか?王都からは確かに2日あれば付く距離で遠くない。しかし、あまりに円滑に事が運びすぎている」




「領主ですよ、私達の話を聞いてすぐ王都へ向い、王に討伐の証拠を渡し、功労者達へ褒章をと言ったそうですよ」



 ギアスの穴をついてきたか、流石商人の町を治める事はある。どちらにしろ目の前の追っ手をどうするか。



「ダイスさ、私達を追手なんて思ってないよね?」ミルが問いかけてくる。



「違うのか?」



「命令が出たのはパーティーに対してにです。僕達は脱退しましたよ。魔術師にとって、秘術を簡単に漏らす仲間など、害悪以外の何物でもありませんからね」



「では何故、こんな危険な道を通ってまで俺を探した?」



「少なくても、私達はまだ仲間だと思ってる」




「そうだよぉ~ダイスが嫌ったのは脳筋の馬鹿であって私達は違うでしょ?」




「そういう事です、もう一度新しいパーティーとして組みませんか?リーダーはダイスさんで構いません。多少抜けてる所もありますが、ダイスさんの様な方がリーダーだと好ましい」



 さて、どうするべきか。



「ダイスよ、この者達の言葉に嘘は感じられない、この前のお前と違ってな。信頼に足ると思うぞ」



 リュートにそう言われる。この前の宿での嘘はばれていたか。



「了解だ、丁度人手が欲しかった所だ。リュートさん、こいつらの滞在も可能だろうか?」



「いいよ、好きに滞在すると良い。無論問題を起こせば話は別だけどね」




 びっくりした。村長、後ろにいたし。



「村長、私の影に隠れて盗み聞きとは感心しませんな」



「リュートは固いねぇ、お陰で許可がすぐ出たんだから良いじゃないか。」




 相変わらず神出鬼没な人だ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る