第53話甘味は正義

 今俺は村人に話を聞いて回っている。欲しい物があるのだ。それはカエデの木の様に樹液がでる木についてだ。



 すると、似た木があったのだ。あまり美味しくないと地元の人間は使わないそうなのだが、一応蜜を舐めてみると、美味くないというかほぼ甘味が無い。確か、楓もそうなので試すだけ、試して見る事にした。


 同じ種類の木に、蜜の受け用のバケツと、雨が入らない用に屋根のような物を付け、数日放置した。



 あっちこっち仕掛けたのと、村の子供達が手伝ってくれた事もあってバケツ52杯分の樹液の回収に成功した。



 それからは・・・ただただひたすら煮詰めた。メイプルシロップの作り方を、補助から引っ張ってきたのは良いが、時間が掛かる事で。巨大な鍋を5つ同時に使っているが、火力の調整やらで休む時間もない。



 最終的にはバケツ13杯分のシロップが出来上がった。手伝った子供や、薪をくれた人々に、分けていたら半分なくなってしまった。



 評価は恐ろしいくらいに高い。まず甘味は果物くらいしか無いとの事で、これを何処かに売りに出せば儲かると言われた。



 村長と話した結果、2割の利益を貰う代わりに、この技術とこの間使った道具を譲った。樹液を煮詰めるだけだなので、大きな影響は無いだろう。それに甘味は必要な物だ、俺は声を大にして言いたい。






 その頃、リムとガイは何の進展も無く、ひたすら外国へと向う道々でダイスの行方を追っていた。




 片やスロート達は、疲労困憊ながらも、エルフとの接触を果たし、ダイスの情報を得る事が出来た。彼の仲間だと言うと。




 「それなら今から戻る所だから、一緒に来るかい?」とまさにダイスが村に行くとき同様渡りに船状態。



「助かったねぇ。このままじゃかなり危なかったよ」




「そうですね、流石に前衛無しはしんどいですね」



「正直もう3日は持たなかったと思う・・・」




 さて、冷静にダイスさんが話を聞いてくれれば、良いのですが・・・



 こうしてスロート一行はクレイドルへ向うのであった。

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