第47話夜逃げ開始
時間は稼いだ。捜索されたとしても、明後日からになるだろう。店の物は大半空間庫に放り込んである。マジックバックは昨日のうちに 「少し休むから一時返却する」と言って返している。ギルドに行かなければいらない物なので、さっさと返すに限る。
店には、魔石消費型の照明をつけたまま、思いつく対策はこの程度しかない。追っ手がくればイカサマ頼り、最悪銃を使う事を視野にいれないといけない。
まずはこの国を出る事から始めよう。顔を変える事は出来ないが、カラーコンタクトを作ろうと思えば可能だろう。髪は金髪にすればより目立たない。精神年齢的にカラコンまで入れるとなると恥ずかしいが、背に腹は変えられん。仕方ないと諦めるか。
翌日
ガウことガウェインはダイスの店の前に来ていた。窓から奥の方を見ると、明るいのが分かる。
やはりそうきましたか、残念です。マジックバックを返却した事を聞いてすぐ来ましたが、中はもぬけの空でしょうね、友として追いたいところですが、これまでの事を冷静に考えて、整理し、彼の力が何か考えると、自ずと理由が分かる気がします。
まず、執務室で彼女を返り討ちにして、隷属の首輪を着けた事、あの執務室では魔術の起動ができない。従って、マジックアイテムも使用不可。それで尚且つ彼女に首輪をつける離れ業をやってのけた。
次にオーガ、メンバー全員の当時の装備を、多少強引に見ましたが、戦闘の跡が一切無い。最近新調したのもあるでしょうが、オーガと戦って無傷で済む訳がありません。
そして、彼に昨日会った時も彼の防具に傷は見あたらなかった。更にオーガの死体の大半は額に小さな穴が開いてるのみ。一撃で突刺武器、あるいは弓。額のみを狙う時点で弓の方が可能性は上ですね。
この二つの事件と状況から、ダイス君は魔力を使わずに使用可能な弓、しかもかなりの射程と連射性能を持った武器を作成した可能性が高い。
もし、本当にそんな物を作ったとして、それが与える、世界への影響は計り知れない。もしそれが世界にばら撒かれたら、一気にパワーバランスはひっくり返る。下手すれば農民がオーガを殺せる時代が来る。
それは同時に、農民が騎士を、魔術師を殺せる時代が来る事を意味する。
もし、もしもその事を分かって、使っていたとすれば、彼の怒りももっともだし、私達は酷い裏切りをしたような物だろうな。
まぁ全ては私の妄想。報告する義務も無ければ、それをするほど恥知らずでもない。友の信頼を裏切ったんだ。せめてこれ以上友の邪魔になるような事は避けよう。
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