第4話
相変わらず優子は二、三日置きに来る睡眠障害に悩まされていた。
眠れる時にはぐっすり眠れるのだがいまいちスッキリしないでいた。
そして今日はT店に行く日。
寒く感じるのも少し和らいで来た今日この頃。
優子は春が好きだ。
後もう少しで春が来る。そんな季節だった。
早目に家を出てコンビニで弁当を買い、温かい飲み物を買い、駐車場に車を停めて飲み物を飲む。
これが至福の時。
さて今日はと日程表をみると今日はT店だっけ。
ここは怪しい事は少ない所…。
今日も防止に努めよう! 優子はそう思った。
そして事務所に向かう。
「おはようございますっ。警備員の者です」
。
「あっ! 中内さん、宜しくお願いしますねー」。
最近話をするようになった副店長さんが返事して来た。
「よろしくお願いしますー」。
優子も返事を返す。
今日も気を引き締めて!
いつも朝は会社に電話する。
「おはようございます。中内優子です、今日も宜しくお願いします」。
今日はあのトレーディングカード売り場、まだまだ人気あるかなぁ。
カードゲーム子供に人気あるから。
優子はこの売り場で立ち止まる。
しばらく商品を見ている。
今から開店します。店内アナウンスが流れる。
始まり。さて!
歩きは少し慣れて来たか。
それにしても先日は他店でカードゲームが狙われ優子は防止したばかりだった。
子供達がカード売り場の前で賑わっていた。
そこで、優子はしばらく見守っていた。
その中の一人の子が優子に気がつき皆に大声で、
「おら、やっぱり帰る。金ないしーぃ!」
そして子供は次々と帰って行った。
そんな事があり、おもちゃ売り場の店員さんに声を掛けられて、御礼を言われたのだった。
こちらの店も同じ売り場があり警備員は皆チェックをしている。
優子は工具売り場に先日八角レンチのパッケージだけ捨ててあったのを確認していた。
早速その売り場迄急ぐ。
今日は大丈夫かな。
棚や床を見る。この日は何も無かった。
入念に他売り場も見て行く。
布団売り場辺りはひと気が無いから
ちょっと怖いなぁ。
相変わらずそんな所は変わっていない優子。
午前中は早くも終わり。
事務所に誰もいなくても、休憩の御礼を言い又店内に戻る。
15時過ぎに子供達が例の如く、カード売り場前に群がり始めた。
優子はしばらく見守っていた。反対側の売り場棚から。
その中で一人の男の子が辺りを見たり落ち着かなくなって、カードゲームを2、3枚持ち文房具コーナー辺りで歩きながら持っていたバックに入れた。
子供が振り返り優子に気がついて早くも泣き出しそうな表情をしてこちらを見る。
優子は子供に声を掛けた。
事務所に一緒に行き謝ろう。
と言うと、その子は素直に先に前を歩くと事務所迄来て、椅子に座って涙ぐんでいる。
本当は利口そうな子のよう。
優子はただ連絡先を書いてもらい、子供に謝ったら家に帰れるよ、と言う。
子供も又素直に顔を縦に振りそして店長さんを待つ。
10分位待ち副店長さんが様子を見に来た。
保護者を呼ぶが家には誰もいない。
母親も共稼きでパートで働いているのかもしれない。
子供の話だとそんな感じだ。
保護者が直ぐ来れるのなら、職場に電話して来てもらうしかない。
母親の職場に電話して30分くらいで到着。
母親は又目に涙を浮かべ申し訳なさそうに副店長さんに謝り出す。
優子は自分の子供の頃を思い出していた。
そんな過去は一生忘れないのだ。
この男の子は今大変さを経験すれば良い大人になるなぁ〜、と優子は思った。
母親も優子に何回も頭を下げて来る。
良い母親だぁ。
「気を付けてお帰りください」。
と優子も会釈した。
優子は直ぐ様事務所に直ぐ戻り後数時間の仕事が待っていた。
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