第2話

Gメンバイトを始めて早二ヶ月が経った。


昨日は県内の自分の自宅から近い店に自家用車で仕事に行っていたが、今日は少し慣れて来たからと県外のS店が仕事場所に決まった。

電車で移動する。


駅からは徒歩になるが、現地までちゃんと着くのか。

会社からFAXが届いた中に、駅から店迄の地図がある。

これを頼りに徒歩二十分位掛かりそうだ。

前もって上司から聞いていた通りに行けば着く筈だ。


しかし帰りだけタクシーに乗るのが許された。

交通費も全額支給される。

これならなんとかなるかなと先ず一安心。


未だ電車で通勤は慣れてはいない。

行きの自宅から駅まではバスに乗る。開店時間から逆算して通勤時間を合わせるから朝の駅には沢山の人。


優子はかなり不安気味な心情だった。

どうなるのかなぁ…。


それにしてもこれは割に合わないような気がする。

通勤時間は一時間半位。


バイト開始一ヶ月目位から寝不足気味。

本当はこの仕事向いていないのか、それまで一日中歩くこの仕事でぐっすり出来たのは一ヶ月位。


電車の中でウトウトするが未だ行きだから途方に暮れる。


母親が心配して駅に着いたら電話しなね、と言う始末。

これでは中々自立出来ないなぁと思う。


さてやっと県外駅に着いたがここからは歩き。

徒歩で二十分位の道のり。


店に着いた!迷わない所にあるから分かりやすい。


早速店内事務所に行き元気良く挨拶して、さぁこれからやっと仕事だー。

ここまで早くもさっき店近くの自販機で温かいコーヒーで一息つく。


そして店内に移動する。


朝一の店内は静か過ぎるが有線が流れている。

この店では洋楽ポップスにな店により違う。


優子はそんな気がするも直ぐに気をとり直して自分に言い聞かせる。

バイト生活は中々順風満帆には行かないな。


この曲よくラジオでも流れるなぁとそんな気を緩める事束の間、店内にお客さんが入って来た、さぁ仕事。

頑張って行くぞっと思う時に限ってミスするから、気を付けても良いとも言えない。


午前中は何も怪しい人はいなかった。

こんな風に人を見ているのは良くないなぁと言える。

先日研修の時に同僚や上司が同じようなこと言っていた。


優子は反省して又歩き出す。

そしてお昼になり、休憩に入ると事務所に行き挨拶。


お昼はこの店内のマーケットで買ったお弁当を食べる。

時間過ぎるのが早いな。

優子はそう思いながら、日誌を書く。


毎日同じ事の繰り返しではないから、新鮮に感じる、かと思うが基本は時間で区切り同じ事の繰り返しをしている。店と言う空間の中一日中歩くのだから。


だがそれにも増して責任のある仕事だ。

バイトなのに正社員並みに大変さを実感する優子だった。


そして休憩終わり午後の部に入る。

店内にはお客さんが疎ら。

少ししかいないかもしれない。

こんなで自分が目立つなぁと又考える。


ふと、そうだった売り場棚の商品の箱などの中身だけ無いのが偶に捨てて行く人がいる。

それを今日も気を付けて見て回る。そして又人を見る。

目を見てはいけない。。


難しいこの仕事かなり顔に出ない人向きだ、私は直ぐに出るからやはり向いてはいないな。

そんな事ばかり毎日考えている。


今日は何か起きるかな。


優子は少し挙動不審になるが、店員達は品出しやレジ打ちなどの仕事で忙しく働いている、私も頑張らないと。

この日はカー用品のルームミラーのパッケージだけ抜き取られた跡がある。

そんな事も仕事になる。

自分の入っている時にこれが有ると困る。

そんな時は持ち場の店員さんが、サービスカウンターの店員さんに渡す。


空のパッケージが有ると自分達がしっかり見張っていないと注意されたら困るな。

そう言えば先日他の店舗でキャンプ用のガスボンベの商品だけ抜き出して箱だけ置かれていたと店員さんから連絡があった。

気を付けて見なければならない。


そんなこんなでもう少しで閉店時間になる。

店員さんの持ち物検査も優子達の仕事。

そして日誌に一日の出来事を書いて終わる。

帰りはタクシーで駅迄。そして電車とタクシーで一時間半。

夜九時頃に家迄。夕飯を食べてそのまま就寝。

こんな感じで一日が終わる。

今日もお疲れーと優子は眠りにつく。


そして翌日薬屋C店が仕事場になる。

この職場は繁華街のど真ん中にある売り場面積が小さいが被害が多いらしく優子のような警備員が仕事を任される。

優子はこの店での仕事でただお客さんに成り切るしかないと思うのだ。


難しい薬屋での想像した通りになる。

働き出してみると、怪しい人達が見えてくる。

捕まえるのが仕事ではなく防止だからもしバレたとしても優子が悪い訳じゃない。


毎日同じ事の繰り返しお客さんに混じるのだ。

それが仕事。


優子は薬屋でお客さんを待つ。

狭い中での仕事、下手したらバレるのを覚悟の上ゆっくり歩き出す。

たまに立ち止まりながら客に成りすます。


お客さんがいない時には商品を見るのも仕事の内になる。

新商品、盗まれるワーストなどの知識を働きながら見て行く。

街の繁華街、学生や勤め人かなりの数の人々が薬屋に来店する。

最近ぐっすり眠れていないようで優子はまだ頭がボーッとしている。


そしてそろそろ仕事も終わりそうな時間に来たその時、少し細身の髪の毛の長い女性が風邪薬を手に取りレジから遠目に差し掛かる時にバックに素早く入れた。

直ぐ店から出ようとしていた。

優子は少し歩き出すその女性に声を掛けた。

「すいません。お店の商品を今バックにいれましたよね。私警備の者ですが。お店の人とお話してもらいたいのですが。」


「はい?何?私。」


そのまま事務所に連れて行き少し事情を説明した。女性は興奮して言葉を返す。

中国人の様子で、今は日本人と結婚してこの街に住んでいるらしい。

店の人が直ぐ来てその女性と話し出す。


話すと少し聞いた住所と名前、電話番号が食い違う。


結局今に中国に帰ると言う。

話している内容が違う為に店の人が近くの交番に電話する。


よく話すとバックにまだ他店からの商品が出て来た。

他でも盗んでいた目薬やハンドクリームなど。


そして交番の警官と店の人に任せ、優子は終わりの挨拶をして電車に乗り家路に着く。


続く…。




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