Gメン日誌
月のきおん
第1話
私はごく平凡な二十代後半の女性。
名前は中内優子。
同級の友人とかにこの仕事を勧誘するが皆嫌がる。
皆怖いと思ったのか中には会話を拒む人もいる。
出来るか出来ないかは別としてどんな内容のバイトなのか。
それで果たして続くのか。
Gメンバイト員、盗みを諭す仕事。
先日は友人に怖くない?と聞かれた。
弁論の自由だからと闇雲に言い難いが職種柄とても特殊。
子供から大人迄人種迄幅広く人が好きでないと出来ない。
自分の精神もちゃんと守れないのに、何故こんな仕事を選んだのかは分からない。
ただ仕事を探していたが、この責任の重い仕事を最近始めたばかり。
いつ迄続けれるだろう。
人に言われて出来る仕事では無い。
Gメン上司に友達誘ってね、と面接終わりに言われた。
この仕事は若い女性少ないの、と皆子供が大きくなった人らが多いのよ、と。
時給はそんなに良いとは言えない。
ただ勤めてベテラン位になれば皆歩合制です、と面接時に説明された。
正社員になれば保険もあるがバイトだと全く保障は無い。
元々ニートで引きこもり、いつも鬱で先の見え無い暮らしをしていた。
そんな時に平然と無料求人誌を見ながらそのまま面接が直ぐに決まりそして働らくのも直ぐに決まったという感じで。
呆気無くて、面接はハキハキとしなくてはいけないと言う訳でも無いが私は元々男の人のような性格がサバサバしていた。
子供の頃からよく男の子みたい!と言われて育った。体育で走るのが好きな。
ニートで鬱な生活を送って来たが、これを機に心機一転という感じでと考えていた。
子供の頃消しゴムを盗んだが、何故そんな事をしたのか。
詳しく言うと気持ちが自分も分かる時期があり。
あの商品が自分の物に見える時があった。
それが父親に気が付かれて父親が有った所に返そうと言う。
素直に従う。小学二年位の私はとてもこまっしゃくれていたのだが。
店の人に返す時、父親の背後に隠れていた。
この後父親と母親に怒られるだろうなぁ…。
家に帰り父親が消しゴム盗んだからあの店に謝り帰るのが遅くなった、と母親に話していた。
両親ともこれと言って怒ることはしなかった。母親は私の顔を覗きこんで、あんたしっかりしなさいと言われただけで。
優子はとても二人に怒られると思うと怖くてたまらなかったから、かなり救われた。
そんな危険性があるが怖いのは実際にしてしまうと言う事。
そして一回でもしてしまった罪は消えないし、窃盗にもなるとても危ないとも言える行為。
犯罪としても一、二回位ならまだしも何回も犯してしまうと常習犯と成り得ると言われている。
そしてある日、優子のそんな バイト生活が始まる訳であるのです。
その日は暑くも無く寒くも無い季節は秋頃だった。
仕事第一日目の朝、とても怖かった。
自分にはそんな責任のある仕事が出来るのかがとても不安になって来た。
昨日あれだけ意気込み過ぎで面接していた。
実際はとても怖がりの自分がいる。
優子は直ぐに無理なら帰らせてもらうつもりでいた。
途中で無理です、と言って。
初日から落ち着かなくてたまらなかったから例の如く、直ぐに先輩に言い、「私怖いです。帰っても良いですか?」と直ぐ泣きだし、店の奥のバックヤードに近い布団売り場辺りに先輩に連れて行かれた。
「大丈夫!怖いのは私も同じだった、最初の頃は。皆同じ。あなた顔に出るからね、目を見ては駄目。涙拭きなね。本当大丈夫よ。」
意外にもとても優しい先輩。
もっとキツく言われるのかもと思っていた。
「私もう無理です。怖くてたまらない!」
「何が怖いのー?」
「目が合うと気付かれるのが怖いです。。」
「合わそうとするからよ。いつも手元を主に見ていなさい。 そうすれば自然に合わなくなるわよ。」
先輩は一生懸命に優子を慰めてくれるのも悪い気がした。
とにかくこの仕事は向いていない。
そんな事を言ってその日は早退させてもらい、家に帰り母にもそんな話をした。
とにかく出だしからこんな人は居ないだろと思いきや、先輩も怖かったと言って泣いてしまったと言ってたなぁ。。
優子はどうすれば良いのかと直ぐ考える所がある。
自分に合わない仕事と思うと直ぐにそんな風に考えてしまう。
だからニートだった。仕事が続かない。
最初から泣くと言う行動に出てから早一ヶ月目に経った頃に会社の上司達が優子が仕事で店を歩いて居たら様子を見に来てくれた。
それが先日の事だった。
「どう?大丈夫?元気そうじゃない。」
「はい。でも相変わらず未だ見つけてはいないしー。」
「そろそろかなぁと思って!駄目だと思うからよ!成せば成るよ。」
「後は挨拶はしっかりする事。この仕事はこれが大事よ!テキパキと仕事をこなしなさい、皆同じだから。罪を憎んで人を憎まずよ。これも大事ね。」
優子はこの時に見つける事が出来なければ辞める気でいた。
この後に、とんでもない事が起きる。
今日も駄目かもしれない。
優子はこの日に二周り歳の近い女性のGメン警備員と二人体制で店に入っていた。
自分の持ち場の異変に気が付く。
最初から見ていた中学生位の男の子のグループが居た。会話が聞こえて来る。
包丁売り場前にいたのだ。
皆で選んでいる。
ワイワイと賑わっている店内の中私は遂に見つけた。
その男の子達が皆手の平に一丁ずつ死角の人のいない方に行きバックに入れていく。五、六人はいた。
そして店の外に出るのを確認した。
優子は緊張しながらこの子達に声を掛けてみた。
直ぐに言う事を聞いてくれた。
逃げられるかも知れないと恐々としていた。
一人の子が、自分が代表で良いよ、と素直に応じてくれた。
事務所に行き店の人に言い責任者に来てもらうとお店の人が見張りを付ける。
その時その子は逃げるそぶりは無かったが、静かに下を向いていた。
私の心は複雑だった。どうしてこんなに沢山持ち帰ろうとしたのか。
理由は簡単だ。
川で釣りして魚を捌く用に盗んだと言う。
それにしても一人に一丁ずつ。
合計でも六丁も。
私はとてもショックだった。
中学生の子らがこんなに。
話しを詳しく聞くと家族は父親がいるが母親は離婚していない。
本当は母親に会いたいと言う。
その子の目は怯えて今にも泣き出した。
盗んだ物が物だけに店側の人や警察の人らの声色が変わる。
とても素直な男の子で危険な子の印象が消えた。
これで辞めよう、こんなバイトは嫌だ!
そして先輩の、良くやったと言う声が響くが自分は気が咎めていた。
トイレ休憩で自分の顔を鏡で見たら真っ赤になっていた。
その件から私のGメンバイト生活がやっと本格的に始まる。
その日は家に着いて重い仕事だなぁ…。
こんな事を考えている自分がいた。
続く…。
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