3.
教会の奥に進んだレブナントたちは、祭壇の裏に回り込み、その先の角のない円の形をした小部屋にたどり着いた。そこで中央の床に両開きの扉を見つけた。
鍵穴のないその扉は固く閉ざされ、ポプリスマの剛人の力でも、頑として開かなかった。偵察に出た仲間の足跡は、ここで途絶えている。しかし他にどこかに通じる道は見あたらない。
「レヴ!」
ジュビアの獣的な警告音。
壁を調べていたレブナントの背筋に、緊張が走った。彼は敵を想定して俊敏に振り向いたが、そこに意外なものを目にした。
部屋を三つの均等の扇形に区切るように、床に光の線が走っていた。光はやがて床から天井に向かってせり上がり、透明な光の壁となって、三人をそれぞれの区画に閉じ込めてしまった。
ポプリスマは、レブナントはより早く異変に気づき、光を観察していた。手や武器が透明な壁をすり抜ける事も発見していた。だが彼女には二人の警告だけが理解できなかった。
「離れろ! 光に触るな!」
レブナントの勘が、彼をそう叫ばせていた。ポプリスマが不思議そうな顔をする。
ジュビアがすぐに、警告を意味する手話を試みようとした。だが遅かった。
壁一面が真っ白に輝き、鋭い音と共に、部屋の様子が一変した。
光の残像がレブナントの目をくらましていたが、雰囲気でそこがもう祭壇の裏ではないとわかった。
少ない視界で見ると、彼は天井の低い小部屋にいた。床の扉がなくなっている。四方が扉付きの石壁に覆われているようだ。
罠を警戒して身を伏せた途端、彼は異様な臭気を感じた。何かが焦げている臭いと、大量の血の臭い。
目が慣れて完全に部屋が見渡せるようになった時、レブナントは足元に散らばる
そこにはポプリスマの右腕と彼女の槍が落ちていた。腕の切断面からは、まだ煙がたち昇っている。さらに反対側の床には、別の守護者たちの鎧と二人分の残骸が残されていた。
レブナントは目をきつく閉じて、彼らに無言の祈りを捧げた。
彼は自分の認識を改めなくてはならなかった。飛ばされた守護者は俺を含めて、二名だと。
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