Prologue-1.4


 世界は、平等に命を与えた。

 それが人だろうが魔物だろうが。


 だが、命の身勝手は同じ価値の命を壊してしまう。


 そうだとしても、これが世なのだ。


 殺さなければ殺される。


 だが、それが人同士だったらどうだ。

 魔物のように、簡単に出来るか?

 ましてはそれが友人だったら?


―――

――


『―――!――ネ!!―ガネ!!しっかりしてくれよ!!』

『…シア……』

『何で…こんなことに!!』

『……だろ』

『え?』

『………お前がっ』

「姉貴っ!」

「ぶふぁっ!」


 エンがリシアの頬を思いっ切り叩く。辺りに響く程、強烈なものだ。


「なっ何すんだよ!」

「だって姉貴、笑うのやめたら別世界行ったみたいにボーっとしてたからさ」

「俺だって考えごとぐらいするって!」

「いや、それが多いからオレらには迷惑なんだってば」

「酷っ!?」


 そう冗談をいいつつも、エンは心配している顔だ。分かっている。分かって、目を覚ましてくれたのだ。本当に助かった。


 リシアは立ち上がって伸びをした。


「ーっと。さて、帰るか」



執筆日 2011年8月13日

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