第3話
高校の屋上から眺める街の景色はどこか寂しげでこれからくる冬の季節を予感させた。11月ももうすぐ終わるのだから本当に冬がすぐそこまできているのだろう。カメレオンが捕食する際にじわじわ詰めてから一気に舌を伸ばすように冬も一気に到来すると思った。
「もうすぐ冬だぜ。今年があと1ヶ月ちょっとで終わるなんて信じられないな」
「ジャネーの法則」
木島結衣はそう言ってから缶コーヒーを飲み始めた。
「ジャネーの法則とは?」
木島に説明を求める。木島は缶コーヒーを飲むのをやめて空を見始めた。
「歳を重ねるごとに時間が短く感じる心理って言えばわかる?」
「よくそんなこと知ってるなぁ」
感心しながら俺は缶コーヒーを開けて少しだけ口に流し込む。甘ったるくて口の中から胃までダメにしてしまいそうな味だ。
「木島さぁ、もし雨を降らせることができる人がいると言ったら信じるか?」
「......人工降雨のこと?」
「いや、そういう類じゃなくて超能力に近いやつ」
「信じない」
信じられないほどの即答だ。
「そうか、まあ普通ならそうなるよな」
「なんだその言い方は。君は普通じゃないと言いたいのかい?」
木島は少し不機嫌そうだ。
「いやそう言うわけじゃない。別に俺自身には何も特別なことなんて起こってないさ」
「ふぅん。で、雨を降らせる人というのはどういうことなの?」
「昨日、下校中に雨を降らせることができてしまう女の子にあった」
「へぇ、確かに昨日は雨が降っていたけどその女の子が本当に雨を降らせたの?」
「彼女の話し方や感情の起伏によって雨の強さが変わっていた。とても偶然とは思えないんだ」
「なるほどね。じゃあ、信じるわ」
「やけにあっさりと信じるなぁ」
「世界に一人くらい降雨少女がいてもいいでしょ」
降雨少女という言い方に違和感を感じるがそれには突っ込まないことにしよう。
「で、雨宮くんはどうしたいの?」
「彼女の雨を降らせる能力を無力化させたい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます