宝石の夜(短編)
雨世界
1 宝石の夜 ……さよなら。みんな、元気でね。
宝石の夜
登場人物
本編
……さよなら。みんな、元気でね。
私が天国に旅立つ日がやってきた。私は電車に乗って、空の上の上のほうにある、天国まで旅立つのだ。鳥たちと一緒に。たった一人で旅立つのだ。
それは、青色の夜の日だった。
瑠璃はその日、天国へ旅に出ることに決めたのだ。
あまりにも夜空に輝く星が綺麗だったから、そうしようと思ったのだ。
泣かないで。
大丈夫。私は、全然大丈夫だよ。
瑠璃は荷物をトランクに詰め込んでいく。
私がいなくなることで、私は私の世界を救うんだ。
瑠璃は荷物を持って、宝石の国を飛び出した。寒い風の吹く草の大地の上を歩いて、瑠璃は森の中へと移動する。
瑠璃が宝石の国からいなくなったことに最初に気がついたのは翡翠だった。
翡翠は瑠璃に本を借りるために瑠璃の部屋のドアをノックした。しかし、瑠璃からの返事はない。「瑠璃、まだ起きてる?」そう言って、ドアを開けると、そこにはもう瑠璃の姿はどこにもなかった。電気をつけてみると、机の上に手紙が置いてあることがわかった。
その手紙には「さよなら」と一言だけ、文字が書いてあった。
翡翠はその手紙を持って琥珀のところに移動した。
琥珀はまだ起きていて、真っ白なキャンパスと向き合っていた。明日描くための絵の構図や内容を考えていたのだ。
とんとん、とドアがノックされると「はい」と言って、琥珀はドアを開けた。
するとそこには翡翠がいた。
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