21.月に吠える戦い
キャンプ場に、狼の足音が近づいていた。
「――石塊よ。兵と化し我が命に従え。『
宗谷は詠唱を終えると、先程立ち上がる前に掴んだ石塊を虚空に放り投げた。すると、石塊が体長2メートル程度の、石造りのゴーレムに変化した。
「
続けて、宗谷が命令を下すと、
「ソウヤさん、これは……」
「その
宗谷の言葉にミアは静かに頷くと、何時でも動けるように、
「……なんだ、ソーヤ。あんなの出せるなんて、
「見掛け倒しだよ。力はあるが鈍重で戦闘にあまり向かない。だが、大きさに
「それじゃ、わたしが、大した物を出してやるぜ。見てろよ」
メリルゥは自信あり気にニヤリと笑うと、精霊術の詠唱を始めた。
「期待させて貰うよ。……おや、来たか」
キャンプ場の入口から、
「やはり
宗谷は
「――
狼の群れがこちらに迫る前に、メリルゥの精霊術が完成し、渦巻く旋風と共に、四大精霊の一体、
「いけっ。存分に、暴れてこい!」
メリルゥが叫ぶと、透き通った乙女の姿をした
(
宗谷はメリルゥの行使した召喚に感心した。呼び出された
迫る
「……ちっ、数が多すぎる」
「流石に
舌打ちするメリルゥを後目に、宗谷は左手を狼の群れに向けて突き出した。
「――魔の蛇の群れよ、目標を追尾し喰らい付け。
左手の五指から同時に放たれた五発の魔弾は、五頭の狼に向けて散開し、それぞれが
「……仕留めそびれたか。やはり簡単にはいかないな」
宗谷の放った五発の
「メリルゥくん、あの
「おい、ソーヤ。そんなもん使えるのか? オマエ、
メリルゥは、宗谷の構えた
「何、心配はいりません。多少武術の心得があるので」
「オオオオオオオオオオオオォォォォ――」
(
宗谷は
(──浅い傷は無意味か。だが)
(深く踏み込めば、反撃の回避が難しくなる。弱点の首を切断したい処だが、簡単ではないな。……あれを使うか?)
宗谷は次の一手として考えた、あれとは、以前ミアに使った事がある
(……さて、多少のリスクはあるが、
「ソーヤ、そっち行ったぞ! くらえー!」
宗谷が行動を決めようとした刹那、メリルゥの放った矢が、
「みたか、やったぞ!」
「うっ……うわっ、なんだ、バケモノかよ!」
「わ、わ、わ、おい、こっちに来るなー!」
「メリルゥくん、隠れるんだ。僕達から姿を消したように」
メリルゥは宗谷の言葉に気づくと、弓を放り投げ、慌てて精霊術の詠唱を開始した。
「――小さき風の精霊よ、わたしの姿を虚空に溶かせ。
「
宗谷は薄く笑うと、魔術の詠唱を始めた。
「――目に映りし、万物を我が手に。『
宙に浮かぶ
「
下敷きから解放されたい
「小細工して済まないね。せめて一刀で」
宗谷は
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