敵の真の目的

「リイム!!」


俺は叫び・・・急いでリイムと一体化をし、敵の神が変化した者を見る・・・


何だこいつは・・姿は美しいただその一言だ・・・神になって様々な神達と知り合いにはなったが、その神達すらも霞む程の美貌だ・・・先程の神も敵でありながらもかなりの美貌だったがそれすら霞む程だ・・


だが、それに付随して強烈な殺気・・顔は笑ってはいるが殺気自体消える事はない・・・・加えて・・この魔力と闘気と神気は何だ・・・こんな巨大なもの見たことが・・・・・・


『絶対神・・・・』


リイムが俺の中でそう言う・・・心なしか言葉が震えている・・・こいつが・・・絶対神・・・?いや何故・・・ここに居る・・・?俺は結界を張っているはず・・・例え次元を超えた力を持っていようと・・・介入できるはずが・・・・・・


「どうかされました・・・?鳩が鉄砲を食らったような顔をして・・・?」


ことわざ・・・俺の世界でしか使わなかった例えに内心びっくりしながらも、表に出さない様に気を付ける・・・そうだ、絶対神・・・俺達の世界の一番上の神という事は、俺の生まれた世界も知っていても可笑しくない筈だ・・・・


「ええ・・・そうですよ・・・後、貴方が知りたいと思った、何故私がこの世界にやってこれたのか、教えてあげましょうか・・・?」


その言葉に動揺する・・・こいつ・・・俺の心を読んでいるのか・・・?


「いいえ、読んでいませんよ?これは、彼女が使っていた天智の書の応用です・・・とは言え、驚きました・・・天智の書を1から作るなんて・・・・・これじゃあ、私がその天智の書に介入何てできませんねえ・・・」


そう言ってくる彼女・・・・確かに、そうだ、リイムは自らの天智の書と言うスキルを一旦捨て、自ら1からスキルを作り出したのだ・・・先見の目・・・そうリイムは名付けた・・・このスキルは、天智の書程万能では無いが、これから起きるであろう出来事を事前に把握する事はもちろん、物事の真相すら知ることが出来る、強力なスキルだ・・・


絶対神と敵対するとなった今、天智の書は万能では無くなった・・・使う事は出来るが、これは元々向こうの神々の為のスキル・・・改竄される可能性は十分あり、いつまでも使えるスキルかどうかも怪しかった・・・・その為にリイムは・・・あいつは自らのスキルを作り出したのだ


・・・・だが、何故・・・あいつは・・・その事を知ることが出来た・・・俺はその事を考えてすらいなかったのに・・・


「そんなの簡単です・・・それが、天智の書の本来の使い方なのですから・・・私の管理下の世界に居る人々は全て私は知ることが出来ます・・・」


管理下の世界・・・・魔界はこの神が作り出した世界だ・・・つまりこの世界にいる限り、全てあいつに筒抜けって事か?


「ええ、その通りです・・・」


・・・くそ!!だったら!!


(リイム!!先見の目で俺だけでも良い!!天智の書のスキルの対象外にしてくれないか!!)


先見の目、天智の書を元にリイムが作り出したスキル・・・このスキルで天智の書に干渉して、何とか俺だけでも、天智の書から外す事は出来ないか!!


(・・・・解った・・・やってみる・・・・)


頼む・・・とにかく時間を稼がなくては・・・


「あら、時間稼ぎですか?いいですよ、質問がある限り、何でも答えてあげます♪」


「・・・・創造神がお前を倒す方法、もしかして、知っているのか・・・?」


「ええ!もちろん!!こちらの世界に強襲しに来た時に、はっきりと知ることが出来ました・・・自らの贄に封印でしたっけ?そんなの、バレてしまえば、いくらでも対応策何てありますでしょうに・・・」


その言葉にを聞き、少し安堵する・・・恐らく、創造神がどのような策をとったとしても、恐らく、やられていただろう・・・実力差もあるが、天智の書厄介な・・・・とにかく、この質問の間に俺自身攻略法を見つけなければ・・・・


「無駄ですよ・・・・」


そんな事を絶対神が言ってくる・・・そんなのやってみなければ・・・・


「あらかじめ、これから質問するであろう事について答えておきますね・・・どこまで知っていたですか・・・初めからですね・・・そう言えば、さっき言いそびれましたけど、魔界だけじゃないんですよ、支配下に置いていたの・・・この世界の神達の世界・・・それも全部支配下に置いてました♪」


何だと・・・・その言葉に絶句する・・・・待てよ・・・それじゃあ・・・


「ええ・・・勇者が旅立つのも、それが神卸をする為に魔界を目指している事・・・そして、魔界を結界で隔離する事全部知ってました♪」


その言葉に力が抜けそうになる・・・何だよ・・・それ・・・全部こいつの手のひら・・・・


「ええ、魔界と神界を隔離させる結界でしたっけ・・・一瞬の神卸で張れる結界などたかが知れている・・・元から魔界に降臨する為に準備をしていた私にとって、その程度の結界は障害になりませんでした・・・・」


元から魔界に降臨する準備・・・だって・・・?


「ええ・・・不思議に思いませんでした?何故この様な回りくどい手を使っているのか?その気があれば、この戦争一瞬で片が付くのに、それをしなかった理由を・・・・」


確かに疑問に思っていた・・・あれだけの力技で相手の世界に魔界を作り出す、これは相手とかなりの力の差が無ければできないはずだ・・・それだけの力を持っているのに、わざわざ魔界を使い、神々の世界を蹂躙する手を使ってくるのか・・・神々の闘いで力押しだけでも十分勝てそうなのに、何故・・・?


「それはですね、この神々の世界を恐怖に落とし入れ、その時に発生する感情をエネルギーとして搾り取ろうとしているんですよ・・・文字通り、死ぬ思いをさせて♪」


そんな事を嬉々として目の前の神はそう言った・・・何て言った・・・・・


「ですから、死ぬ直前まで恐怖を味わせて殺すんですよ!!全員の魔族の性格が苦しませて殺すのを嬉々として行う様に、生み出したはずが、他の世界も強引に支配下に置いた為、リンクしてしまったんでしょうね・・・全員がそうなりませんでした・・・」


吐き気が催す事を事もなけにそういう・・・・本当にこいつは・・・・!!


「そうして、最後に私がこの世界に降臨して、世界を恐怖の渦に陥れる・・・・それだけで良かったはずでした・・・・まあ、貴方が結界を張ると言うこと以外はね・・・何なんですか?この結界・・・完全に神界と魔界を分断させているじゃないですか?こんな魔法を使えるとは思っていも居ませんでした・・・」


言われて気づく・・・そうだ、この魔法を作ったのは、ダールとジュルが居なくなった後、しかも、絶対神の支配下でない、創造神の神界で作った魔法だ・・・しかも、この魔法は創造神が作った結界をベースに、神界と魔界を完全に分断させるのを徹底して改良に改良を重ねた自信作だ・・・どんな神であろうと、外から入ることなど出来ないはず・・・・それが何故・・・・?


「あらあら、不思議そうですね・・・はっきり言って偶然ですよ・・・ただ、私の配下の神が魔界に降りるみたいだったから、私自身降臨しやすい様に、私の一部をその子に付けたんですよ♪だから、本当に紙一重だったんですよ・・・・」


言われて力が抜ける・・・・そんな・・・・あいつが魔界に降りたのは・・・俺が神卸に答えたから・・・


「本当に紙一重でした・・・いくら準備したと言っても、完全に分断させられてはその準備すら使えない・・・自らの一部・・・それが魔界に無ければ、とても、この世界に降臨など出来ませんでした・・・本当に予定通り、意識だけの神卸を行わず、そのまま予定通りの神卸だけをしていたら、あの子・・・カニルが魔界に降りて居なければ・・・負けていたのは私だったかもしれませんねえ・・・」


その言葉を最後に、彼女の顔が歪み始める・・・先程まで奇麗だった顔はひどく歪み・・・憎しみが宿った顔になった・・・・・


「一応言っておきますが、倒せるなんて思わない方が良いですよ・・・・・この世界全ての負の感情・・・全部私に注ぎ込まれるようにしていますから・・・元から絶望的な差があるのに、本当に可哀そうですねえ・・・・・それにしても、・・・あなたの顔・・・まだ、絶望的な顔と言うのには程遠いですねえ・・・圧倒的な力の差を理解していないのか・・・・それとも、本当に勝てるとでも思っているのか・・・まあいいや・・・いずれ呼ぶつもりでしたから・・・あの子達も、もう呼んじゃいましょうか?」


そう言うと、神は沢山の魔物を呼び出した・・・何千・・何万と・・・・それも、普通の魔物では無く、途轍もなく、魔力と闘気・・・そして、神気を持った、大きな魔物が覆いかぶさらないと思わんばかり現れた・・・


何だ・・・これは・・・一匹一匹が下級神・・・いや・・・中級神にすら届きそうな魔物までいる・・・それだけの力を持った、魔物をこれだけの数呼び出した・・・?!


「本当は、この子達を使って世界を恐怖に陥れようとしていましたが・・・貴方には絶望を感じてもらいたいので、この子達とも、遊んでもらいましょうか・・・?」


歪んだ顔をこちらに見せながらそう言う・・・・・・このままでは負ける・・・・くそ・・・せめて、天智の書の範囲外にならなければ・・・リイム!・・・まだか・・・!!


(ロイド!!終わったよ!!!)


「そちらも準備が終わったようですね・・・ああ、一応言っておきますか、何故貴方達の待っててあげたのかを・・・私の計画に穴をあけようとした貴方達をただ殺すだけでは物足りません!貴方達に全力を出させて足掻きさせ、それでも勝てなかったと言う絶望の顔をみルタメデスヨオオ!!」


歪んだ顔で笑いながら、絶対神が迫って来た・・・・・・・・・・・・・絶望的な戦いが今始まる・・・・・・

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