集落

「・・・・本当に魔族なの?」


「・・・ああ・・・そうだが・・・・」


今僕は、魔族とルザーに紹介された人物と話をしている・・・えっ?本当に魔族?何だか、僕達が出会った魔族とは全然様子が違うんだけど・・・・・


「ねえ・・・あなた本当に魔族・・・?」


「・・・どういった意味で聞いてきているのか、解らないが、この魔界で生まれたの者が魔族と言うのなら、私は魔族だ・・・・」


えっと、神様からもらったの情報じゃあ、絶対に出会ったら殺しに来るはずなんだけど・・・・


「ルザー・・・」


「俺に振られても解らねえよ・・・ただ、ここに着いた時、俺自身気を失っててな・・・それを、この魔族の人が見張っててくれた様なんだよ・・・本当かどうかはさておき、気を失っている敵相手に何もしてこなかったんだ少なくとも、殺意は無いだろうよ・・・」


・・・・確かに殺す気なら、もう既に僕達は死んでいるはずだ・・・・


「・・・・名前は・・・?」


「名前は無い・・・何しろ、生まれてすぐに魔王の追っ手に追われた生活を過ごしてきたからな・・・付けている余裕もなかった・・・」


「えっ年齢は?」


生まれてすぐに魔王に追われたって魔王が現れたのって、最近だよね・・・どう見ても、成人女性にしか見えないんだけど・・・・


「・・・半年位か・・・?まだ、1歳にもなってねえよ・・・」


まじですか・・・えっという事は、こんな姿をしていても精神は赤ん坊って事?


「・・・変なこと考えて無いか・・・知識面において、この世界の知識は生まれた時から持ってるんだよ!精神も大人とそれと同じだからな・・・勘違いするなよ・・・」


「えっと・・・」


つまりどういう事?


「・・・私が生まれたのは最近だが、大人と同じだ・・・そう思ってもらえればいい・・・」


・・・まじですか・・・


「・・・そうなると親は・・・・?」


「いねえよ・・・気づいたら、この世界に存在していたからな・・・この世界に居る魔族は全員そうじゃないのか?」


・・・何だか、今までの常識が音を立てて崩れている様な気分だ・・・


「・・・それで、お前達の身を寄せ合っている集落って言うのは、どこなんだ・・・?」


僕が頭を抱えていると、さっきまで黙っていたルザーがそう言って来た・・・何でも、僕が気絶をしていた時に、集落に住んで居る事を話していたみたいで、そこには、争いを好まない魔族達が身を寄せ合って過ごしていると魔族の女性は言っていた・・・


「・・・・案内してもいいが、集落に入る時は武器を預けてもらうがいいか?さすがに武器を持って居座られていると、皆怖がっちまう・・・」


ルザーの問いに、そう、彼女は言った・・・


「・・・・ルジャいいな・・・」


「・・・うん・・・お願いします」


そう言って、僕は頭を下げた・・・今の状態じゃ、何も解らない状態だし・・・とにかく情報を集める為にも集落に行きたい・・・そう考えた。


「・・・解った・・・着いてきな・・」


そうして、僕達は集落を目指すことになった・・・


--------------------------------------------------


しばらく歩いていると、森の中に入っていった・・・何でも、魔王の配下に見つからない様に、集落を作っているとのことだ。


「まあ、風の噂だと、ここ以外にも集落があるらしいが、移動して探すにしても、その際、魔王軍の奴らに見つかる可能性があるからな・・・下手に動けないんだ・・・」


そう言って、彼女は話し続ける・・・うん、結構彼女って喋るのが好きなんだなあ・・・ここに来るまで、距離が結構あったはずなのだが、ずっと喋りっぱなしだ・・・


「まあ、仲間がいるからそんなに寂しくは無いがな・・・例えば、角が二本ある仲間何て・・・」


「・・・多分その魔族の人の話聞きました・・・」


・・・仲間の魔族の事をずっと話をしている・・・いい人なんだけど・・・さっきまで激闘を戦い抜いていた僕にとっては、疲れが溜まってしょうがない・・・


「ああ・・・そうだったかな?だったら、手が羽になっている仲間について話をしようあいつは・・・」


・・・早く着いて!相槌つくにしても、結構辛い!!その思いは叶わずしばらくの間、仲間の話を聞かされるのであった・・・


――――――――――――――――――――――――――


「お!着いたぞ!!」


話を聞きながら2、3時間後・・・ようやく、目的の場所に着いた・・・・つ・・疲れた・・・


疲れた頭で集落を見ると、そこには、蔦や、木を組み合わせた家と言っていいのか解らない物がいくつか立っており、その中から、様々な姿をした魔族が顔を出してきた・・・


「おーーい!みんな!!外の世界からやって来た人間を連れて来たぞ!!」


そう言った瞬間集落の人々が、騒めき始めた・・・ってそんな風に言ったら!警戒されるんじゃないの!!もっと言い方なかったの!!!


すると、大柄の魔族が一人やって来て、話しかけて来た。身長は2、3mはある。まあ、あのイカの魔物よりはもちろん小さいが・・・


「・・・人間?この魔界でか?」


「ああ・・・私も驚いたが!本人達がそう言っているから間違いないだろう!!」


「・・・ちょっと待て・・・それだけ聞いて、この集落まで連れて来たのか・・・?!」


「?何か悪かったか?」


そう彼女が言うと、大柄の魔族は目を押さえ始めた・・・この人多分苦労人だな・・・・ガタイが良いのに・・・ご苦労様です・・・・


「・・・・君達は何をしにこの集落へ・・・?」


大柄の魔族はそう言って、僕達を向いた。


「・・・この魔界に始めて来たのでな、情報収集と出来たら暫くこの村で休ませてもらえないかと交渉したくてやって来た・・・」


「・・・魔王軍の配下じゃないと言う証拠は?見た目何て、魔法でいくらでも変えられるからな・・・それ以外の証拠はあるか?」


「・・・無いな・・・」


そう言うと、ルザーは肩を竦めた・・・


「・・・第一何故人間がこの魔界に来ている?この世界にはそうそう来れるものでは無いはずだが・・・」


「・・・・解った、話そう、だが、お前だけに話をしたい・・・それでいいか?」


ルザーが僕を見てそう言ってくる、僕は頷く・・・とにかく今は信用を得なければ・・・・


―――――――――――――――――――――――――――――――


そうして、集落から少し離れた場所で大柄の魔族にこれまでの出来事を話した・・・


とは言え、話したのはほとんど、ルザーで僕はその話を補間するだけだったが・・・


「・・・・・・・・・つまりお前達は魔王を倒しにこの世界にやって来たと・・・そう言うんだな?」


その言葉に僕達は頷く・・・魔王を倒すそう言えば、魔王を対立しているこの人達の協力を仰げるそう思ったから、全てを伝えた・・・だが・・・


「・・・そうなると、俺達を殺しに来たという事でいいのか?」


「えっ?」


「・・・何故そうなる?」


「・・・この知識は生まれた時に植え付けられていたもの何だかな・・・」


そう言って、彼は話し始めた・・・何でも、この世界は魔王を軸に僕達と対立している神が作った世界で、魔王を殺せば、この世界は消滅する運命しかない・・・そう言って来たのだ・・・・


「・・・だから、魔王を殺すという事は、この世界全てを消滅させるそう言う事だ・・・」


「そんな・・・・」


「・・・・・・・・・」


その言葉に僕達は言葉を失う・・・これが、全ての魔族が僕達に敵対的ならこんな思いはしなかっただろう・・・だが、この人達はただ、生まれて、今を必死に生きているだけなのだ・・・


そんな人達をほとんどの魔族が敵対してくるからと言って、この人達は何も関係が無いのだ・・・それを切り捨てる何て・・・そんな事・・・・・


「・・・・やさしいな・・・お前達・・・」


そう大柄の魔族は言ってきた・・・え?


「俺達は生まれてこの方、追われて殺しかけられ、疎まれて生きて来た・・・余所者で、他人に対して、そんな悲しそうなする人等、そんな者一人もいなかった・・・」


そう言って、彼は上を見上げた・・・大柄ゆえに余りはっきりと見えなかったが、そこには涙が光っていた・・・


「・・・・いいぞ、入りな・・・」


彼は、そういきなり言って来た・・


「えっでも・・・僕達は魔王を・・・」


「どちらにせよ、その魔王に遅かれ早かれ俺達は消されるだろうよ、ただ、この集落に入れるからには、集落内で仲間を傷を付けたりしたら、タダじゃおかねえからな・・・」


そう言って、彼は笑った・・・・その笑いは僕にはどこか、寂しそうに見えた・・・・・

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