勇者の始まり

私は踊ることが全てだった・・・私は神卸の巫女・・・踊ることにより、神を降ろす事が出来、神の啓示が解り、私はそれを皆に伝えればよかった・・・それだけで、世界は回っていた・・・そうあいつらが現れるまでは・・・


魔物、魔族・・・そいつ等は、瞬く間に私達の世界を壊していった・・・人々は神に祈った・・・助けてくれと!!その祈りを捧げる立場に私が代表として啓示を求めた・・・結果は・・・神は人々を見捨てた・・・『我等は今干渉出来ぬ・・・』と・・・


私は神の言葉をそのまま伝えた・・・そうする事しか出来なかったから・・・結果、私は人々から疎まれ、罵倒され、恨まれた・・・私は謝ることしか出来なかった・・・そうする事しか出来ることが解らなかったから・・・・・・・・・それから、しばらくは何も覚えていない・・・ただ、いつも近くにいた従者の二人・・・ルザーとルウェールが私を守っていたのだけは覚えていた・・・


・・・私は悔しかった・・・何も出来ない自分に・・・二人にずっと守られている自分に・・・


二人はいつも一緒だった・・・従者としてあてがわれたが、私にはそんなこと関係なかった・・・二人も主としてではなく一人の人間・・・友達として扱ってくれた・・・大事な人達・・・それなのに私は・・・


そんな中・・・私は勇者として祭り上げられた・・・何でも神の啓示が示されたらしい・・・・・・何故・・・私が・・・私何て踊る以外何も出来ないのに・・・・そんな中久しぶりに夢を見た・・・最近は眠れても夢なんて見なかったのに・・・そう思っていると近くに神様がいた・・・神卸の儀式以来久しぶりに神の神気に触れた・・・だが・・・この感じいつもの神では・・・


『初めましてかな?ルジャ・・・』


神から話しかけられた・・・いつもなら名誉ある事としてすぐに返事をしなければいけない・・・だけど・・・そのときの私は・・・


『・・・・・・・・・・・・』


私は黙って神を睨んだ・・・何でこんな時に貴方達は私達を救ってくれないの!!私は民衆の声を思い出す・・・『何が巫女だ!』『詐欺師!!』『神が俺達を救ってくれるんじゃなかったのか!!』『ペテン師!!』『このまま死ねっていうのかよ!!!』・・・・・・・様々な怒声・・・罵倒・・・ルザーが前に出て一時的に収めてくれたけど今でも聖堂の前に罵声や物を投げつけられている・・・


『・・・・ごめんなさい・・・・そう言っても足らないかもしれないけど・・・』


私は更に睨みつけた!解っているのなら言うな!!!


『・・・・・・・・・・これだけは伝えさせて、貴方が動かなければ・・・この世界・・・いやこの世界だけではなく、他の世界も全て消えるわ・・・あたかたもなく・・・・』


そう・・・神は言った・・・その声は・・・少し震えていた・・・


『・・・・お願い・・・あの人の・・・・・・・・ううん・・・私達の世界を救って・・・!お願い!!』


・・・・・・この神・・・たぶん女性だろうけど、あの人と言った時、かなり声が震えていた・・・・


『・・・・・・・あの人とは・・・あなたの大事な人なんですか・・・』


『!!・・・・・ええ・・・・』


そう言った・・・・・・大事な人・・・私にとって大事な人は・・・・


『・・・・・・・・・・・彼は自分が持っていた世界を全て消されたわ・・・・魔物・・・魔族によって・・・』


私はその神の言葉に顔を上げた・・・・世界を消された・・・?


『・・・・世界というのはね・・・この一つだけじゃないの・・・様々な世界・・・文化・・・いろんな世界があるんだけど・・・そんな中彼の世界は真っ先に攻撃された・・・・』


そういう彼女の声は・・・・涙ぐんでいた・・・・


『・・・・彼の世界は笑いが絶えなかったわ・・・誰もかも笑って・・・楽しそうで・・・楽園みたいな世界・・・そんな世界が一瞬で・・・』


彼女はしばらく黙った後一言こういった・・・


『地獄に変わった・・・』


・・・その声があまりにもかわいそうで・・・たまらずに私はこういった・・・・


『だったら!魔物なんて消せばいいんじゃないですか!!貴方達は神なんでしょう!!』


そうだ!神なら何でも出来る!!そう思っての発言だった・・・


『・・・出来ないの・・・』


『・・・な・・・』


『あの魔物は別世界の神が創ったものだから私達が手を出すことは出来ないわ・・・』


そこからの彼女の話は想像絶するものだった・・・神々の戦い・・・その為に、今は世界との干渉が出来ない事・・・仮に干渉しようとしても魔界と言っているその世界で核を成しているものを倒さない限りそれ自体が難しい事を上げた・・・


『・・・そんなの私には・・・』


『・・・貴方しかいないの・・・いや貴方が動かなければ・・・世界は消える・・・それでもいいの?』


そう言われ・・・思い出す・・・いつも守っていてくれた二人を・・・


『・・・・・・・・・解りました・・・やります・・・私に何が出来るか解らないけど・・・』


そう私は言った・・・世界を救うためではなく・・・二人を消さない為に・・・


『・・・・・・ありがとう・・・』


そう言って・・・私は目を覚ました・・・その後、とんとん拍子に旅立ちの準備が進み出発となった・・・見送りは、親しい人だけの少人数だけだった・・・何でも、勇者の旅立ちは秘密裏に動かなくてはいけないらしい・・・


「みんな!僕言ってくるね!!!」


そう言って手を振る・・・僕に一人称を変えたのは自らを鼓舞する為だ・・・自らを変える為・・・何よりなめられない様に・・・


そう言って、三人で聖堂を出る・・・・ルザーとルウェールだ・・・本当は危険な旅に連れて行きたくないのだけど・・・というより二人を守る為に旅に出るのに何でこうなるの?まあ、従者だからしょうがないんだけど・・・・


「どうした勇者!もうホームシックか!!」


「違う!!まだ出発もしていないのになるか!!」


そういって話をする・・・何だかんだ・・・やっぱり二人に守られている・・・・本当に私で・・・そんな弱気な気持ちを頭を振って振り払う・・・あの時神様と話した時に決めたじゃないか・・・やると世界を救うと・・・


僕は前を向いた・・・気持ちを切り替えよう!!


そういえば、他にも仲間がいるって言ってな!聖街の外に二人いるって言っていたけど・・・どんな人だろう・・・仲良く出来ればいいな・・・


それが僕の知っている全て・・・その旅の先に何があるのか知らず僕は今まで進んでいたのだった・・・・

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