神の苛立ち 勇者の狂気

「ああ!何で!こうなるんだ!!」


そう、女性は叫んでいた・・・見た目だけは完璧なプロポーション、シミ1つ無い顔・・・奇麗な姿・・・・だが、その顔は醜く歪んでいた・・・


「あんだけ加護あげてやったのに!何で負けてるんだよ!!」


そう、彼女こそが、勇者達に加護を授け、戦争を仕掛けた神である・・・実際負けたわけでは無かったが、自分があれだけ力を貸して退却をした人間に対しいらだっていた


「これじゃあ、力を絶対神である、あの方にあげれないじゃないか!!」


そう、この神、絶対神と言う存在から作られた神である・・・下級神周りからはそう言われている・・・


絶対神から他の神達と戦争になると話を聞いて、世界から感情を一時的に強制的に集める事にした・・・


私達が作った世界・・・その世界で生きている人達の感情を糧に私達は力を得ている・・・憎しみ、悲しみ、苦しみ・・・そういったものを一度に集められる戦争は一番効率が言い集め方だ・・・・


その為、世界は魔族と人間がいがみ合うように調整した・・・魔族は人間を奴隷の様に扱う様に・・・人間はその魔族を憎むように・・・


まあ、魔族が余り増えすぎると人間が全滅してしまうから勇者と言う輩を選出してその辺のバランスはとっているが・・・


そんな中、人間と交流を持とうとする魔王が存在する世界が出来た・・・


数多にある世界の内の中でほんの僅かの世界だ、放って置いてもいいだろう・・そう思っていた・・・それが、あの奴隷共!勝手に召喚して!!


何が『人間と何故争わなくてはいけない?』だと!!何勝手に疑問を抱いている訳?!というかそんなこと聞く為に勝手に召喚するな!!奴隷は奴隷らしくいう事だけ聞いてればいいんだよ!!それが人間と交流しようとするどころか!口答えまでしてきやがって・・・


まあ、せっかくだから、その世界の人間に大量の加護を与えて魔族を滅ぼしてしまおうと思った・・・戦争で死んでいく魔族達から負の感情を手に入れる為に・・・


魔族が居なくなったら、世界から争いが少なくなるだろうし、もう、その世界を消すが問題ないだろう・・・


まあ、本来魔族の方が能力が高いから勇者以外魔王は魔族と勝負にならないのだが・・・


人間の兵士全てに加護を与えれば問題ないと考え実行した・・・その目論見は正しく、ほとんどの兵士が魔族を圧倒していた・・・後は、勇者が後ろから奇襲すればすべてが上手くいった・・・


そう・・・あの魔族の子供が邪魔をしなければ全てがうまく行っていた・・・・


・・・何だったんだあいつは・・・私の神の能力で覗こうとしてもうまくいかなかったし・・・まあいい・・次は100万の兵士に加護を与えるのだ・・・負けは無い・・・・・・・・それにあいつはただの世界の奴隷・・・羽虫・・・・気にする相手じゃ・・・・


「ああ!イライラする!!」


そう言って、何もない空間に魔法を放つ・・・ストレス解消で力を使っているの見られたら大変な事になるな・・・まあ、こんな世界の端っこ滅多に誰もやってこないか・・・


「何をしている・・・」


げっ・・・・こいつは私の上司である中級神だ名前はフェイル・・・


「カニル・・・何をやっている・・・」


その後、しばらく上司からの説教をくらった


私はその時、迂闊に魔法を使った自分を呪った・・・だが、本当に後悔するのはこの後だという事に今はまだ気づいていなかった・・・


――――――――――――――――――----


「皆のもの時は来た!!」


そう言って、100万人の兵士に演説しているのは勇者パーティーの一人ウェス彼はエブエの魔法を使い全員に聞こえる様にして話をしていた・・・・


「魔族に鉄槌を下し!我ら人間の繁栄が来る時代が来たのだ!!」


次の瞬間歓声が上がった・・・


「我らには神の加護がある!皆の者!魔族に鉄槌を!!神に賛美を!!」


「「「「「「「「鉄槌鉄槌!!・・・・」」」」」」」


周りから鉄槌コールが鳴り響く・・・魔族に対しての嫌悪感はバイドの政策でどうにかなるものでは無い・・・それどころか、神の魔族を滅ぼせという命令から全ての人間が魔族は敵と言う認識に改めて認識され・・・その敵対心は戦争が起きようとしている今、ピークを迎えようとしていた・・・


「我らの正義魔族達に思い知らせてやろう!!!」


「「「「「「「「「ウォー―――――――!!!!」」」」」」」


歓声を聞きながら戦士は壇上を降りる・・・


「演説ご苦労様です・・・すごいですね・・・戦争が終わったら政治家にでもなってみたらどうです?」


後ろからエブエが話しかけて来た・・・・


「世事は良い・・・というより、本当に俺で良かったのか?俺はただの戦士だ・・・本当なら・・・」


その言葉にエブエは首を振る・・・


「無理でしょうね・・・あの調子じゃ・・・・」


「・・・だな・・・」


本来この演説は勇者がやる予定だった・・・そして、俺達勇者パーティーのメンバーは勇者の後ろにいてそれを眺めて居れば良かったはずだったのだ・・・それが・・・


俺は勇者が居るテントに入る・・・


「殺す殺す殺す殺す・・・・・・」


そう呟いて爪を噛んでいる勇者が居た・・・こんな状態がしばらく続いている・・・俺は一度気晴らしに模擬戦をさせてみたのだが、駄目だった・・・それどころか、仲間である俺すら殺そうとしてきたのだ・・・


何とか収まったが、俺を含めて、エブエ以外一度死んでしまった・・・


だから、リャル何か怖がって勇者に近づかなくなっているくらいだ・・・


今はエブエの魔法で何とか拘束している・・・


「勇者・・・もう少しで戦争が始まる・・・」


「ころ・・・・」


そう言うと、爪を噛むのをやめ、呟きも聞こえなくなった・・・


「戦争開始時点で、お前を解き放つ・・・思う存分暴れてこい・・・」


そう言うと、勇者は不気味な顔でニヤッと笑った・・・そこには勇者として活躍をしていた、彼の面影はどこにもなかった・・・

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