バイド学校に行く

「ほっほ、よく来てくださいました魔王様」


バイドは学校に来ていた。


本来なら手続きは下々の者にさせるのだが、今回は事が事な為、自分で来ることにした。


ちなみに先程話しかけてきたのは、この学園の校長であるコードだ。


少し見知った仲であり・・・彼はジェニー程ではないが、奥が見えない性格をしている。


故に、油断はしない様に話をする・・・


「挨拶は良い、話していた件について出来るか確認したい」


とりあえず、腹の探り合いにならない様、すぐさま要件に入った、要件とはもちろん、ロイドの入学についてだ。


「・・・ほっほ、そんなに急かさんでも、すぐ手続きは出来るだが・・・」


コードはいったん目をつぶりこう言って来た・・・


「本当に5歳児を我が校に入学させる気か?」


その言葉に吾輩はあらかじめ考えていた理由を話す・・


「ああ、もちろんだ、前にも言ったが私の息子は転生者だ。精神年齢なら20を超えている・・・加えて剣は吾輩、魔法は・・・吾輩の右腕であるジェニーが教えている・・・・そして、その二つとも、共にものすごいスピードで成長している・・・それこそ、この学校で学ぶことは無いと断言できるくらいには・・・な・・・」


そう吾輩が言った瞬間、コードは目を細めて来た・・・


「・・・それは、儂の学校で学ぶ必要性が無いという事か・・・?」


「ああ・・・その通りだ・・・」


そう言うと、コードは頭を掻いて困ったような顔をした・・・


・・・理由は説明をしているはずなんだがなあ・・・そう思いながらも、コードに吾輩はロイドが学校に来る理由をも一度言った・・・・


「前にも伝えたが、ロイドには城の中以外で他の人との接点を増やしてもらいたいと思っている。その他にも常識や一般知識の教育もしてもらいたい・・・恥ずかしい話だが、ロイドに対し・・・剣と魔法と言った教育はしてきたが、一般教養の教育を全然しておらなくてな、その辺もお願いしたい・・・」


吾輩はそう答えた・・・


「・・・・一応聞いておくが・・・本当に魔王様が剣を教えておられるので・・・?」


「ああ・・・本当だ・・・・下手をすれば、俺より強いぞあいつ・・・」


「ほっほ!!魔王様よりですか!!それは楽しみですな・・!!」


俺の答えに、陽気に返事をするコード・・・こいつ、俺の言葉恐らく信じていないな・・・下手をすれば親の色眼鏡で見ているとでも思っているのだろう・・・


まあ、あいつの強さを知るには、実際に闘ってみないと解らないだろうからな・・・だとしても、ここまで信じないとは・・・そんな事を考えていると・・・


「それでしたら、試験は儂が行うことという事でよろしいかな?」


とコードが言って来た・・・これは、今の話が本当か、自分の目で確かめようとしているな・・・確かに、学校の関係者で試験をするのなら、コード以外適任者はいない・・・


こう見えてかなりの実力者であるコードは並みの相手なら相手にもならない程強い・・・


だが・・・・相手にするのは吾輩すら手を焼くロイド・・・


・・・本当に大丈夫だろうか・・・あいつ、吾輩と似て・・・・手加減できないんだよな・・・死人が出ないだろうか・・・


「・・・・別にいいが、確か、試験は一対一の模擬戦だったよな」


「そうじゃ!ロイドの力を確かめるのにこれほど、手っ取り早い試験は無いじゃろう!!」


そう言って、コードは吾輩に笑いかけた・・・笑っている場合じゃないぞコードよ・・・恐らく・・・少しでも油断すると本気で死ぬぞ・・・まじで・・・


「死者を出さない為に言っておくが、コード・・・お前自身最初から全力で試験に挑め!!じゃないと絶対に死ぬぞ!!あいつ・・・ロイドは手加減が苦手だからな!!!」


俺は必死になって忠告をする・・・ロイドを人殺しにはしたくなかったからだ・・・だが・・・・


「ほっほ、あい分かった」


飄々とした表情で答えるコード・・・・あいつ・・・俺の忠告ちゃんと聞いているんだろうな・・・


「本当に大丈夫なんだろうな」


そう呟やく・・・吾輩・・・とは言え、これ以上、吾輩がやれる事はない・・・とにかく手続きは終わったのだ・・・後は、試験日当日何事もなく終わる事を祈るだけ・・・・


その日、バイトは心配でよく眠ることが出来なかった・・・

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