天使(達)のダンス

「ふん。クソにも劣る」

 黒田くろだ星子せいこ綾川あやかわ知子ともこが、ファルヴェード王国に来てから一年。


 三機のファルヴェードが見事な連携で、“帝国”の機体を葬っていた。ファルヴェードの搭乗者たちが、いや撃破された敵すらも「光速を超えた」と錯覚するほどの連携で。


「まったくだ。いつもながら、見事な連携だよ。星子さんに知子さん」

「ふふん、このファルヴェード・カワサキと星子のファルヴェード・リーリエがあれば、どんな敵もへっちゃらだよ!(ハリアーにも世話にはなってるけどね。恥ずかしいから黙っとこ。それに、星子やあの恋人さんにも悪いし)」

「このセミラミス……いや、ファルヴェード・リーリエなら、“帝国”にも勝てるよ!」

 星子と知子は、いつもながら上機嫌であった。


     *


 そもそもこの三人は、最初は打ち解けなかった。

 いや、星子と知子は打ち解けていたのだが、いかんせん中核たるハリアー……もとい、アルブレヒトとの仲が、どちら相手でも一方通行なのであった。

 それはそれは“険悪”と言える中で、一時は爆発しかけた。


 それが今ではどうだ。

 知子がジャミングで敵をかく乱し、星子が援護射撃を叩き込んだ所で、アルブレヒトが吶喊とっかんする。

 しかも、指揮はアルブレヒトが行っているのだ。

 その様は、「天使たちのダンスのようだ」と、王国の津々浦々で讃えられたのである。


     *


「ふふっ、今日も凄かったね知子。あんな濃厚なジャミングを出せるなんて♪」

「星子こそ。もう百発百中じゃん、ビームライフルの腕」


 そんな天使達の二人は、部屋で若干アブナイ会話に興じ始めていた……。

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