図書館暮らし。
以星 大悟(旧・咖喱家)
1
艦橋で航海長の報告を聞き終えた艦長の
戦闘支援用に上位種族エルブ人によって製造された
今はこの図書艦<オモイカネ>の統括している。
名前は不可思議な事に大間風艦長の意向で<扶桑>のままとなり、修復した以前の<
だから
知的生命体をより長く未来永劫、存続させる事を目的とする外部宇宙侵略以前の知的生命体の文化を収集・保存・研究する事を目的としている。
ただし
知的生命体の歩みの歴史に必ず現れる石、粘土、竹、紙などに情報。
神話、英雄譚、伝記といった過去の物語から生活に直結する知恵、娯楽として創作された物語などを書き留めた媒体を収集。
それを修復・復元・解読しデータ化し保存。
各惑星の研究所に提供、または政治的な思惑によって棄却されぬように保存する。
図書艦。
それが
そして今は
任務内容は外部宇宙に関する媒体の捜索。
またはそれに付属する媒体の回収。
テラン人の元始惑星は外部宇宙が打ち込んだ生態系を崩壊させ、突然変異を多発させるウィルスと地殻変動を加速させる兵器によってテラン人が住めなくなった。
海王星から観測する地球は
「扶桑。ここから見える地球は、君のパーソナル領域に何か反応する物はあるか?」
『いいえ。
「…そうか。では速度このまま、遺棄された月面基地まで通常航行で向かう」
大間風艦長の号令を聞いた航海長は針路を遺棄された月面基地に向けた。
速度から割り出した月面基地到着までの日数は3日と5時間24分12秒。
同盟軍には図書艦として登録されている
光速航行を行えば瞬く間に火星基地に到着出来るが、大間風艦長は通常航行を行いそれまでの間に乗員に休息を与えるようであった。
リラクゼーションルームのチェックをしておいた方が良いと
船員全員の出身惑星に関する情報とリラクゼーションプログラム…異常無し。
食物合成器及びリラクゼーションメニュー…異常無し。
その他のリラクゼーションメニュー、関連するリラクゼーションルームに異常無し。
ただ今はこの星系に武装勢力が潜伏していないか調べる方を優先する。
歴戦の
後は無事に地球での調査任務を終えるだけだ。
知的生命体の女性を模した
全高1028メートルの巨大な女性。
外装式ユニットは旧時代の航宇宙艦そのものを模し、
軍艦という枠組みに置いてここまで不可解な艦形はない。
以前の<
製造されて初めて<
艦内に映される
その鹿島は宇宙史で初となる完全な人型艦船だった。
人の思考は合理性を追求する情報生命体である
浪漫という物らしい。
ワタシは人の持つ不合理な合理性について演算を続けながら月面基地へ向けゆっくりと航海を続ける。
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