~⑤湯西川温泉駅~

13:18

栃木県の湯西川温泉駅へ降り立った。

5つ目にして最後の山岳トンネル内旅客駅である。

 湯西川温泉という名前の駅ではあるが、温泉地としての湯西川温泉はこの駅からバスで30分ほど行った山中にあるので、実際としては湯西川温泉口といったところだろう。

ホームは、葛老山トンネルに入って間もない所に設置されていて、ホーム上からトンネルの外を眺めることができる。トンネルに入る前に鉄橋を渡るので、鉄橋と更に奥のトンネルの入口が見える。


この湯西川温泉駅がある葛老山トンネルの全長は4250㍍であり、比較的長めのトンネルではあるのだが、山岳トンネル内旅客駅がある4つのトンネルの中では最短である。


ホーム全体は狭いものの、照明が多いため比較的明るい。

ホームと駅舎を結ぶ通路の入口には、「歓迎 ようこそ湯西川温泉郷へ」という文字が書かれたアーチがあり、これを越えると駅舎へ繋がる階段になっている。


駅舎は隣接する道の駅湯西川の建物と併設されており、道の駅側の建物にはマイカーなどで立ち寄った客で賑わっていた。この道の駅が湯西川温泉郷への玄関口となっており、湯西川温泉郷へ向かうバスに乗り換える方々の休憩場所にもなっているようだ。加えて、この道の駅には日帰り温泉もあり、この温泉目当てに立ち寄る客も多いようである。


駅舎を出た正面には、五十里湖が広がっている。道路を渡って湖の際まで行くと、湯西川温泉駅到着前に通ってきた湯西川橋梁を一望できる。対岸の山並みには桜の木が生えているので、桜シーズンは湖と山の緑と桜をバックにとても美しい風景になることだろう。

しばらく景色を眺めていると、会津田島方面行きの電車が駅に到着する音が聞こえてきたので、カメラを用意。鉄橋を通過する電車を撮影するのだ。

電車が来た。次第に加速し、遠くへ行き、橋を渡り終えてトンネルの中へ消えた電車。

撮影できた写真は…、なんかまぁ、微妙ですが、良しとしますか😅


道の駅に併設されている温泉も気になったが、温泉は次の川治温泉と決めていたので、素通りして再びホームへ。


次の目的地は、一つ隣の川治湯元駅の近くにある川治温泉 薬師の湯。川沿いにある野趣溢れる温泉だそうだがいかに?


13:59

次の列車がホームへやってきた。

これで、全ての山岳トンネル内旅客駅のホームで列車に乗る、あるいは降りることを達成した!


切符買 ¥300

湯西川温泉13:59

野岩鉄道線新栃木行

川治湯元14:03着



~川治温泉~


14:03

野岩鉄道会津鬼怒川線の川治湯元駅に到着した。

単線の線路にちょこんと添えられるようにして存在するホームは高架上にあり、眼下に住宅が数軒見渡せた。

それにしても線路はこの先、随分と高い所を渡っている。これは、野岩鉄道の建設が末期の国鉄によって進められたため、計画していた現在の会津鉄道の会津高原尾瀬口駅と東武鬼怒川線の新藤原駅近くの藤原の間を、トンネルや高架、橋梁を駆使してほぼ直線に敷設したためである。

ちなみに野岩鉄道の野岩とは、栃木県の旧国名の下野の野と、福島県の旧国名の岩代の岩からきている。現在の東武鬼怒川線と野岩鉄道会津鬼怒川線・会津鉄道会津線・JR只見線の下今市ー会津若松間は、概ね当時の野岩線計画の線形に等しいが、会津若松より北側は未開通野まま計画が消えてしまったようである。


線路がかなり高い所を通っているように見えるのは、橋脚がある場所は更に土地が低くなっているためだからだった。駅から温泉までは徒歩で10分ほどらしいが、往路はかなり坂道を下るし、復路はこの長い坂道を上ることになるので、なかなか道中はハードだ。

坂道を下り、鬼怒川沿いを行くと男鹿川と鬼怒川の合流点が現れ、そのたもとに目的の温泉 薬師の湯があった。

中はそれほど広くはないが、こじんまりとした落ち着きのある雰囲気だ。露天風呂とはなっていたが、天井で頭上は覆われ、可動式の引き戸で河原の方を閉め切ることができるので、内湯みたいな感じだった。ただ、戸を少し開けると川のせせらぎが聞こえてくるので、ホッと安らぐ場所だった。

さて、この温泉。

実はまだ一つ温泉を持っている。建物の正面の遊歩道のすぐ下には、河原の脇にも温泉が出ているのだ。当然入ることもできる。ただし、ここは混浴である。

そして何よりも、もの凄い開放感だ!

温泉から脱衣場まで、何から何まで川の対岸から丸見えなのだ!

二つある湯船のうち、一方はついたてがあるものの、河原に至近の方の湯船はついたてなど無く、直上の橋や対岸の遊歩道、さらには旅館の客室からモロ見えだ😅

そのような環境からか、先客は地元のおじさま方だけで、観光客や女性客には抵抗があるのかもしれない。


個人的には、このような端から丸見えという野天風呂について、これまでの旅で何度か経験があるので、さほど気にすることもなく、川の瀬を聞きながらのんびりと過ごさせてもらった。


野趣溢れる温泉で開放感と癒やしを得て、再び川治湯元駅へ。乗車予定の電車発車時刻まで時間が押していたので、登り坂を一気に早足で駆け上がり、駅までコースタイムの半分5分で行ってしまった。代償として、汗が止まらない😨

温泉で温まった汗なのか坂の急登による汗なのかわからなくなった😰


さて、これで今回の旅の全ての立ち寄る場所は終わった。次の電車に乗ってしまえばいよいよ首都圏へ向かうことになる。


切符購入¥610

川治湯元15:51

野岩鉄道線新藤原行

↓3

新藤原16:02

東武鬼怒川線区間快速浅草行

下今市16:37着


川治湯元駅発車直後の高架上から川治温泉の温泉街の様子が一望できた。

ちなみに、薬師の湯はプールの奥にある建物で、河原の混浴野天風呂は更にその奥の木で覆われた場所にある。すぐ横に吊り橋が見えるので、その吊り橋の入口付近に温泉は位置している。野天風呂からは、辛うじて線路は見えなかったが。


途中の新藤原駅で区間快速の浅草行きに乗車した。16:02発で浅草には19:05着だと言う。

このまま乗って居られたら、楽なのだが…

そんな思いを抱きつつ、週末パスの効力を惜しみなく発揮させるため、下今市駅で下車し、徒歩で約700㍍先にあるJR日光線の今市駅へ向かった。



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