挑戦! 職場→自宅間徒歩移動 2015, 4, 4
挑戦! 職場→自宅間徒歩移動 2015, 4, 4
~概要~
通勤時間片道約1時間。
毎日移動している道のりを、もし電車やバス、自転車などの乗り物に頼らずに自分の足だけで歩いたらどれくらいで踏破できるのだろうか?
普段何気なく利用している電車やバスは、どれだけ早く移動してくれていたのだろうか?
以前から思うことだった。
昔から、公共交通機関をわざと使わずに徒歩のみで移動することを度々やっていたので、一度職場と自宅の間を徒歩で歩いて踏破してみたいと考えていた。
普段から最寄り駅の一つ手前の駅から歩いて帰宅したり、節約を名目に4、5㎞先の目的地まで電車バスを利用しないで歩くことは多かったので、さほど抵抗はなく、「足さえあれば何処へでも行ける」と信じて前へ前へと踏み出してきた。
今の職場に来てから早くも3年が過ぎていたが、未だ徒歩で職場→自宅の移動はしていなかった。
本格的に実行について考え始めたのは、とあるテレビ番組の影響だ。
2月11日(祝)。ぼんやりと昼過ぎに目覚め、体調不良を感じながら朝食兼昼食を摂っていたとき、点けっぱなしのテレビがある番組を放映し始めた。
「Great Traverse 日本百名山ひと筆書き」
北は北海道利尻島から南は九州屋久島まで、日本全国に点在する百名山を全て登ることはもちろん、その間の移動も全て徒歩、海はカヤックで渡るというとんでもないプロジェクトに挑戦する、プロアドベンチャーレーサーの田中陽希さんを追った番組の総集編だった。
http://www.greattraverse.com/
番組を見ながら感じたことは、全国を徒歩のみで踏破することの凄みの他にも、日本の何でもないような道中にも美しい風景があり、興味深い歴史が残っていて、温かな人の暮らしがあるということだ。
普段何気なく通り過ぎているところに、未だ気付けていない発見があるかも知れない。
そんなことを思うと、しきりに放浪癖が疼き出し、3月以降に実行したい旅の計画を立ててしまっていた😅
一つは、前述の山岳トンネル内旅客駅制覇。基本的には、既に通ったことがある駅が多かったが、これら全ての駅で電車から降りて改札の外に出てみたら何か発見があるだろうか?
そんな期待を胸に出発した。
二つ目が、職場から自宅まで徒歩で移動してみることだ。こちらは桜が見頃を迎えた頃に実行すれば、途中でお花見しながら歩くことができる。
ということで、職場から南へ向かう途中、等々力渓谷や多摩川堤を経由しながら武蔵小杉のビル群を越え、二ヶ領用水の桜並木を経由しながら川沿いの土手道を歩き、トレッサ横浜付近を通り過ぎて菊名の先へ抜けて自宅へ戻る、約20㎞の道のりの徒歩移動計画を立て、決行した。
Google Earthの距離情報によると、今回の経路による移動距離は19㎞、コースタイムは4時間強。そんな道のりを、コースタイムの2/3~3/4で踏破するつもりで、常に早足での移動を前提とした。また、あくまで徒歩にこだわり、走ることは禁じた。具体的には、競歩のルールを適用し、片方の足のかかとが必ず地面と接した移動のみ可能とした。目の前で横断歩道の青信号が点滅していたとしても、駆け込んで横断することは許さない(と決めた)。
そんな決めごとを自分で設定し、4月4日(土)の14:00、職場である東京医療センターの自分の机のある場所からスタートした。
~東京医療センター→等々力渓谷→多摩川堤~
14:00
東京医療センターの一角にある自分の机の前を発ち、六階から一気に一階まで下りて外へ出た。
20㎞先の自宅までの徒歩移動が始まった。
東京での桜はギリギリ見頃終わり前、といった感じか。
東京医療センターの敷地を出て駒沢通りを西へ向かって歩く。すぐに東京医療センターの隣に面する駒沢公園を突っ切る。ここの桜も見事だったろうが、既に桜吹雪が舞っていた。
なだらかな坂道を下ったり上ったりしながら深沢の交差点まで来たら、駒沢通りとはお別れ。ここから南下して等々力駅方面へ歩く。ここでもまた丘を越えるため、坂道を上がる。東京医療センター周辺の駒沢や用賀、鷹番などの地域は武蔵野台地と呼ばれる丘の上にある。この武蔵野台地は多摩川と荒川の間にある河岸段丘で、田園調布から国分寺や立川、青梅まで崖線が続く。北は埼玉県の新座市や川越市まで続き、東側は上野付近まで広がる。駒沢周辺は武蔵野台地の南端に近く、武蔵野台地を水源とする湧水由来の河川が多いために台地を削って中小規模の谷間が入り組むように続く場所が多い。それ故に、駒沢通りや目黒通り、自由通りは起伏が激しくなっている。ちなみに、最初の経由地である等々力渓谷も、武蔵野台地からの湧水に由来する川によって台地が削られて形成された渓谷である。
丘を越えて坂道を下ると東急大井町線の等々力駅前を横切る。すると、すぐに右手側に等々力渓谷への入口がある。
14:30
等々力渓谷に到着した。
入口から渓谷を見下ろすと、等々力駅がある場所が結構高い所だったことがわかる。
ここから多摩川の堤近くまで渓谷沿いに遊歩道が整備されているので、川のせせらぎを聞きながら青々と茂った木々の下を歩いていく。
渓谷内には等々力不動尊が鎮座しており、その脇には滝がある。ここは霊場になっているようで、あとで調べたら滝修行する人もいるのだとか。
等々力不動尊を越えると遊歩道は終わり、川沿いの道を進むとやがて左側にあった崖が低くなっていき、武蔵野台地を抜けてしまったことがわかる。ここまで来ると、多摩川は目と鼻の先である。
多摩川堤の土手へ出ると、多摩川とその対岸の神奈川県を望むことができる。
しばらく多摩川の河川敷を歩きながら、土手に植えられている桜や草花を眺めて進んだ。
東京医療センター→多摩川土手 4.4㎞
~多摩川堤→丸子橋→神奈川県~
多摩川の河川敷を下流の方へと歩く。
多摩川の土手にはところどころ桜の木が植えられ、河川敷側からはちょうど満開を迎えた桜の行列が一列に整列して、通る人たちを見下ろしていた。
満開の桜の横を散歩しながら眺める人やランニングしながら観賞する人、桜の木の下で桜の花を見上げたりバーベキューしながらお花見大会している人が多かった。
土手に植えられ、全力で咲き誇っている桜の木を見ると、春の訪れを強く感じ取ることができるものだ。それと同時に、土手を覆う草がやさしい緑色を発し始め、その緑色のジュウタンの中を黄色や白色の小さな花が咲き乱れた様もまた、暖かな春の訪れを目で見て感じ取れる光景だろう。
桜の木の周りに白や黄色の花が咲き広がる様子を眺めているうちに、春は多彩なやさしい色で目を楽しませてくれる季節だと改めて思った。
この多摩川の土手沿いに河川敷を歩き、東急東横線と目黒線の多摩川橋梁をくぐり抜けて丸子橋まで行く。
丸子橋は、都心と神奈川県の湘南を結ぶ中原街道が多摩川を渡るための橋で、交通の要衝だ。
15:08
丸子橋北岸到着。
この橋を渡ると、いよいよ東京都を出て神奈川県へ入る。
多摩川も土手から対岸の土手まではかなりの幅があり、渡り終えるまでずいぶんとある。
普段すぐ横を通過する東急東横線の電車に乗っていても、多摩川を渡る時に時間が掛かっていたのも納得だ。
神奈川県に入り、新丸子駅付近を歩いていると、綱島街道上にセブンイレブンがあったので入店し、栄養補給だ。多摩川河川敷を歩いていた頃から空腹感があり、昼食も兼ねておにぎりと揚げ鶏を購入、店先で食して燃料補給した。この間10分ほど停止した。
そこからさらに10分ほど歩くと左側から新幹線とJR横須賀線の高架線が近づいて来て南武線を橋で越えると、最近は建設ラッシュでビルが群がる武蔵小杉に至った。
15:34
武蔵小杉に到着。
新築されて間もないビル群の間をかいくぐりながら武蔵小杉を抜けて、綱島街道を南下。
東横線では一駅分先の元住吉へ向かう。
多摩川土手→武蔵小杉 4.4㎞
~元住吉・二ヶ領用水桜並木→矢上川→鶴見川・鷹野大橋脇~
15:44
元住吉駅交差点に到着。
この交差点は二ヶ領用水という川を跨ぐ橋の上にあり、この二ヶ領用水は川沿いに多数の桜が植えられているので桜の名所としても知られている。
大きな川ではなく、用水路の脇に桜並木があるような感じであるため、桜の木の下でござを敷いてお花見という訳にはいかないが、長く続く桜並木は見事である。
特徴としては、二ヶ領用水自体の河川幅が狭いので、両岸に桜が植えられている場所は桜の密度が非常に高くなっている点が挙げられる。このような場所に架けられたら橋の真ん中から両岸の桜並木を一望すると、かなり見応えがある。
沿道には露店も並び、天気は曇天だったが遠くから足を運んできた人もいたようだった。
二ヶ領用水の桜並木を更に奥へと進み、川沿いを歩いていく。
やがて桜並木も終わり、川沿いの風景も観光としての顔から民家の間を流れる生活感溢れる顔へと移り変わっていった。
そのまま民家の間を流れる川に従って歩き続けると、正面を横切る河川が見えてきた。
矢上川だ。
鶴見川の支流の一つで、日吉付近はこの川を境に両岸が丘になっており、両方の丘の上に慶應大学がキャンパスを構えている。
二ヶ領用水に引き続き、矢上川を下流の方へ向かって歩き出す。
ここから先はしばし川沿いの土手道を行く。
静かな土手道は、時折通行人やランニングしている人が横を通るくらいで、多摩川河川敷の人の多さとは大きな違いだ。
ふと川の流れに目を向けると、その流れにはここまで流れくる間に蓄えてきた桜の花びらが無数にあった。まるで、桜吹雪を川面が再現するかのように、淡いピンク色の花びらが水上を舞っていた。この光景もまた、春の桜が満開になってしばらくの間だけに見られることだと思った。
矢上川を下っていき、やがて正面が拓けて視界が広がる場所に出た。
鶴見川だ。
東京都町田市の小山田地区を水源とする河川で、途中小田急線の鶴川駅付近を流れ、神奈川県川崎市麻生区を通過して横浜市に入り、東急田園都市線市が尾駅付近を流れ、JR横浜線の鴨居駅付近から新横浜を経由、東急東横線綱島駅付近を経て、鶴見に至り、大黒埠頭付近で横浜港へ注ぐ。
ここまで脇を流れていた矢上川は鷹野大橋の横で鶴見川と合流する。
ここまで歩いてきたら、ゴールまでの道のりはあと少し。比較的見慣れた場所になるので、なんとなくホッとしてきた。
武蔵小杉→鷹野大橋脇 4.5㎞
~鶴見川南岸→二ッ池→入江川せせらぎ緑道→自宅~
鶴見川に架かる人道橋を渡って鶴見川南岸へ。
下流を見渡すと、鷹野大橋の先に川崎駅付近のビル群が望め、上流側には新横浜のプリンスホテルの円柱型のビルが見渡せた。
南岸に渡り終えて上流方向へ土手道を進む。
鶴見川の土手歩きは、9年ほど前の高校三年生の春休みにやったことがあった。卒業間近に控え、一度高校の近くを流れる鶴見川を上流方面へ土手を歩いてみようと企画し、小田急線の鶴川駅まで歩いたのだ。
今回鶴見川の土手を歩いた距離は僅かであったが、なんとなく懐かしい気持ちになった。
鶴見川の土手とも別れ、長らく歩いてきた土手道を終えて、鶴見川南岸の中小規模の町工場が並ぶ街並みを横目にしながら南下を続ける。
この付近には鉄道が無いため、途中で横切った通りや沿道にはバスが頻繁に行き交っていた。
トレッサ横浜がある環状二号線を越えてしばらく行くと、左側が拓けた場所に出た。
二ッ池だ。
その名の通り二つの池が並んでいる。
16:37
二ッ池を通過して、先へと進む。
ここから先は丘陵地になっており、丘や谷間が多く形成されている横浜らしい形相の場所を通過する。
周辺が丘に囲まれる中、谷間に沿って続く道を進む。先ほどまで歩いてきた川沿いの平らな場所とは違い、景色を見るにも見上げることが多くなった。
馬場小学校の横を通り過ぎ、その先の交差点を右折。
馬場七丁目というバス停の横から始まる小径が、最後の経由地である入江川せせらぎ緑道である。
16:52
入江川せせらぎ緑道を行く。
元々の入江川の上流側を暗礁化する際に遊歩道として整備された道である。
緑道沿いを流れる水は下水場で処理された水で、鯉やザリガニなどの水棲生物の他、白鷺などの水鳥も見られる。
緑道沿いにはまだ植林されてから日の浅い桜の木があり、これらも花を一生懸命咲かせていた。
やがてせせらぎ緑道は、正月の初詣で行った、竹灯籠や灯籠のトンネルで美しく魅せてくる建功寺の前へと至った。
今度は入江川の本流上に整備されたせせらぎ緑道を通る。こちらでは、立派な桜の木もあるため、お花見を楽しみながら散歩するには本流側のせせらぎ緑道の方が良いだろう。
遊歩道に整備される前から生えていたであろう桜の木は、やはりその花の咲き方は盛大な感じがする。
入江川せせらぎ緑道を越えると、いよいよゴールである自宅が近づいてくる。
17:06
自宅の玄関を開けた。
ゴールの瞬間である。
医療センターの自分の机の前を出発してから3時間6分。コースタイムの3/4でのゴールだった。
鷹野大橋脇→自宅 5.5㎞
普段あまり通らない道や初めて通る道を使って自宅へ戻ると、見慣れたはずの自宅の一室が別の場所であるような錯覚を覚えた。きっと、普段ならば職場→自宅間の移動ではどこかで電車に乗っていたので、電車から降りる→自宅へ歩くという過程を経ていたが、この過程無しに自宅へ戻ってきたために、脳内で自宅へ戻ってきたと認識するに時間が掛かっていたのだろう。
ひとまずこれで、職場→自宅間を歩いて移動するという目的を果たすことが出来た。
今回は桜が多く咲いている場所を経由するようにコースを選択したこともあり、良いお花見となった。また、川沿いの土手や河川敷を歩いて心地よい春風に当たることもできた。
楽しみながら歩き通すことが出来て何よりだ。
次は、どこを歩こうか。
完
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