いいじゃないですか?

 部長、いいじゃないですか?

 彼は頑張ったんですよ、その行動は認めてあげても。

 責任背負って。

 始めてのプレッシャーと闘いながら。

 慣れない付き合いして、情報収集して……。

 それで惜しくも他社に敗れた、ですが良いじゃないですか、ベストを尽くしたのだろうから、それがいずれ会社の財産へと変わるかもしれませんから。


 部長、いいじゃないですか?

 私は今、先輩なんですよ、この子の……。

 だから、監督責任で俺を叱るべきじゃないですか?


 部長、いいじゃないですか?

 若いうちは失敗はあり得ること、知識や経験って武器が育ってないのだから。

 それを分かっていて、補佐を怠った私が悪いでしょう?


 部長、いいじゃないですか?

 少なくとも、ダメ社員と徴される私より見込みある可能性があるのだから。

 だって失敗の数、私より少ないでしょう?

 そんな未来ある芽を潰さなくても良いじゃないですか。


 あの時だって部長、君をかばう為、私は言ったのだからさ。

 自分は良くて、部下はダメ、それでは人はついて来ない、そう言ったハズだよ。

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