その4

 夢を見ていた。

 夢の中でボクは、とある施設で『保護かんきん』されている子供の一人だった。

 そこでは、子供たちが日夜どこへとも知らない『実習』に連れていかれて、仲間たちは次々といなくなった。

「まったく、前世はろくなことしなかったんだろうな、俺らは。そうでもなけりゃ、こんなことにはならないだろうよ、な」

 と、今回の夢で唯一ボクと生き残った少年は言う。

「でも、なんかノリノリでAS(アームドスーツの略。アーマードトルーパーみたいな兵器)壊してたじゃん」

「ありゃ、そうでもなけりゃやってられないってやつだよ。単純作業をやってると、心病んじゃうから、そんくらいやってないと、ダメになるんだよ」

と、少年が鼻歌混じりに後片付けをしているのを手伝いながら、ボクはこんなことを聞いた。

「それにしても、あんなデカブツ、どうやって生身で倒してるの?

みたところ、重火器とか持ってないんだけど」

「ああ、そんなことか」

と、彼は当たり前のように返事を返した。

「どんなものにも、ここを押さえておけば、潰せる弱点があるんだよ。コツさえつかめれば、お前さんにだって出来るよ」

「そんなもんかな?」

と、ボクは怪訝な顔をして言う。彼はポチョムキンか山のフドウみたいな巨体なのである。

「そんなもんだよ」

「ふうん、そうなんだ」


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