零と壱の

ぴろん、ぴろん、お知らせが届く

しゃら、しゃら、目覚ましが鳴る

ぷるる、ぷるる、電話が響く

たった一個の機械

遊べる、書ける、見れる、喋れる、描ける

これがたった一個の機械

凝縮されたパーソナルコンピューター

これがたった一つで世界を知れる

恐ろしい機械

いつか独り歩きして

空想で見た空気中に映る画面に代わるのだろうか

そして、もっと便利になって

既にある依存症が酷くなって

他人の顔を例えば一日中、見ずに生きていけるかもしれない

チャットがラインがツイッターが、全てのアプリたちで埋もれる

人の心も埋もれていくのだろう

掠れる文字の紙よりも、沈殿する零と壱が交錯するのだ

誰かの想いも軽んじられるのだろうか

一つ一つに心を込めた『なにか』さえ

この綺麗な空に響かなくなるのだ

静けさをまとう森でさえシャッター音が鳴るだけか

それともマップで見るだけになるのか

それを撮ってくれた人の心は見えないのか

携帯電話は零と壱の心をとどめてはくれない

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