第18話
ちょっと訂正。
ファラの母親を叔母と表記しておりましたが、ファラの母親の方が姉でアイシャ(ラシードの母親)の方が妹だったので伯母に変更しております。
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長とファラの父親を見送り、バースィルとも別れた私はすぐに寝室に引き返した。扉を開けたとたんに私の姿を認めたファラが、痛めた足を
「ラシード
「ファラ……」
愛しい少女を抱きしめる。そのまま口づけようとしたところで、クスクスという笑い声が聞こえてその場に固まる。ここでようやく、寝台脇に置かれた椅子に座った伯母が笑みを浮かべて私達を見ているのに気付いた。
「伯母上……」
「ふふふっ、お熱いわねお2人さん。さて、ラシード君も戻ってきたことだし、私は退散しようかな」
茶目っ気たっぷりにウインクすると、伯母は私の肩をポンとたたいてから部屋を後にする。ファラの様子を見るだけでなく、私が戻ってくるまで傍についていてくれたのだ。少し落ち着いて考えれば居るのは分かっていたはずなのだが、ファラの傍にいられる嬉しさからすっかり失念していた。驚いたのと気恥ずかしさも相まって、私はただ呆然と彼女を見送るしかできなかった。
「ラシード従兄様、お仕事、終わったの?」
腕の中に囲ったままだったファラが私を見上げる。彼女は部屋着を纏っているのだが、その襟元からのぞく首筋には昨夜、私が情欲に任せて付けた痕が散らばっている。これも伯母に見られたわけで、何だか恥ずかしい。
「うん。出立まではずっと一緒にいられるよ」
「いつ……なの?」
「明後日の朝だ」
「そう……」
彼女は寂しそうに
「ファラ……」
私は彼女を引き寄せると、唇を重ねた。軽くついばむような口づけから徐々に深く濃厚に舌を絡め合う。彼女の口腔内を堪能し、最後にかわいらしい舌に吸い付いてから離すと、名残を惜しむように銀の糸を引く。
「従兄様……」
ファラは体の力が抜けて私に寄りかかってくる。顔を覗き込むと、頬がほんのりと色づき、目がトロンとしている。その姿を見ているだけで欲望が首をもたげてくる。夜まで待っていられない。
「いいか?」
彼女の顔を覗き込みながら訪ねると、昨夜同様頬を染めながら頷いた。私は彼女を抱き上げると、寝台へと足を向けた。
その後私とファラは寝室から一歩も出ずに過ごし、あっという間に出立の朝を迎えた。朝一番でファラから引きはがされ、私は渋々皇帝の紋章が入った紺藍の衣服に着替えた。バースィルから今後の予定を一通り聞き、ファラの着替えが住む頃合いを見計らってから彼女の元へ向かった。
「ファラ、綺麗だよ」
「従兄様も……」
彼女が纏っている淡藤色のドレスは私が選んだものだ。予想通りよく似合っている。だが、華やかな衣装とは裏腹に彼女の表情はさえない。離れる寂しさを必死にこらえているのだろう。私はそんないじらしい彼女をたまらず抱きしめた。
「あー、陛下、そろそろお時間です」
無情にも時間は過ぎ、扉の外からバースィルが声をかけてくる。
ファラが痛めた足は随分とよくなったが、大事をとって出立の見送りはここで済ませることになっていた。
「もう、行かなければならない」
「気を……つけて」
「うん。半年後を楽しみにしている」
私は再び彼女をしっかりと抱きしめると、唇を重ねる。再度扉の外から催促されるので、私は渋々体を離し、彼女を残して部屋を出た。
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