蝉の抜け殻
萌香
夢の中の少女
車の中のエアコンが効きすぎてギンギンと頭が痛む。寝すぎたのだろうか。
おもむろに体を起こす。ここはどこだろう。
見たことのない景色。周りは田んぼでかこまれており、いかにも「田舎」というかんじだ。勿論僕の住んでいる町が都会だといいたいわけではない。しかしどう見てもここは室町時代ぐらいの村なのかと思ってしまうほどに「田舎」だった。ふっと反対側を見る。そこにはあまりにもこの景色に似合わない真っ白なワンピースを着た少女が一言言った。
クルナ。
「優斗―!起きろー!」
母さんの無駄に元気な声で現実に戻る。
「どうした?今日は日曜日だよ。」
ベッドの横に置いてある目覚まし時計を見ながら言う。土日の僕の起床時間は九時のはずだ。
「お父さんの仕事の都合で引っ越すことになったの。早く荷物をまとめなさい。」
突然の一言。はっ?急に?今いう?
「だって優斗昨日私が帰ってきたときはもう寝てたじゃない。起こすのもどうかなーって思って。」
だからって今言うか?
「え、学校は?」
「転校届を昨日出しといたから。向こうの学校に通いなさい。生徒数が十六人で小中一貫だそうだからすぐ仲良くなれると思うわよ。」
え、十六人?僕の通っている緑川中学は全校生徒五百四十人だ。地元の小学校の全校生徒を加えると千五百人を超えるだろう。
「何物々言ってんの?早く準備しなさい。」
母さんはさも忙しそうにドタバタしながら出ていった。ボーっとしながらベットに飛び込む。
続きます。
蝉の抜け殻 萌香 @hatikujisann
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