第26話
3日目。
今日もギガントビートルを一蹴して、第2層へと進む。
ラックの指輪は今日も効果を発揮してくれているようで、またも鑑定が必要そうなアイテムが手に入った。
変に高揚したテンションのままでは、思わぬアクシデントに見舞われかねないので、階層ボスが姿を消した後の部屋で、しばし休憩。
しっかり気合いを入れ直してから、第2層の探索を開始したのだが……その努力も虚しく、またもオレは歓喜という名の精神異常と、激闘を繰り広げながら、押し寄せるモンスター達と戦っていた。
何の変哲も無い普通のオークが、重厚な洋書状のアイテムを落としたのだ。
そう、これでオレは短期間のうちに二度のスキルブック入手に成功したことになる。
さらに……
『スキル【敏捷強化】を自力習得しました』
【解析者】の声が脳内に響く。
ともすればニマニマしながら、モンスターを突き殺していくオジサンという、ハタから見たらとても危ない絵面になりそうになるのを、どうにか堪えつつ、探索を進めていく。
ボス部屋自体は既に見つけて(第2層の南南西付近)あるが、今の目的はモンスターの間引きだ。
父の成長次第では、そのうち実家の守りを父に任せて、兄とともに攻略を進めていくことになる。
無理をし過ぎて、もし命を落とすようなことになれば、元も子も無くなってしまう。
第2層の西側には厄介なモンスターが多く存在している。
クリーピング・クラッドというスライムの亜種(要するに動くヘドロ)や、ポイズンモールドという動くコケの群体。
ジャイアントビー、ジャイアントスコーピオン。
これらは全て、いわゆる毒持ちなのだ。
オレも以前、別のダンジョンで蛇型のモンスターから、毒を食らったことがあるが……アレは可能なら二度と経験したくない。
まるでハンマーでガンガン殴られ続けているような激痛が、解毒ポーションを服用させて貰うまでの間、ひたすらに続いていたのだ。
いつもよりも注意深く、壁面や天井を観ながら探索を続けていく。
クリーピング・クラッドやポイズンモールドに、床を歩く習性は無い。
むしろ積極的に壁面や天井にこそ潜み、奇襲を好む。
あ、そうそう。
今回、オレは腰のポーションストッカーに心強いサブウェポンを、まるでピストルのように挿して歩いている。
ターボ式、長尺型のライターだ。
コケの群体を相手に、鎗は無用の長物と化す。
無数のコケを、いくら突いてもキリが無いからだ。
反面、燃やしてしまえば、あっという間に討伐成功するモンスターでもある。
クリーピング・クラッドや、スライムにも、火攻めは有効だ。
ジャイアントビーは、けたたましい音を立てて迫って来るので、発見は容易。
ジャイアントスコーピオンも、僅かに鳴るカサカサ音を、聞き逃さないように注意していれば
、接近を察知できる。
ジャイアントビーは高速の飛行モンスター。
ジャイアントスコーピオンは高攻撃力、高防御力を誇るモンスターではあるが、今のオレならば、数で押されなければ、どうとでもなる。
持ち時間スレスレまで間引きを行い、急いで引き上げる。
戦果は上々。
これだけ狩れれば、身体能力の成長も期待できるうえ【敏捷強化】スキルの恩恵も、思いの
これならば……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます