第11話
スキルブック自体を実際に手にしたのは、これが初めてのことだが、世間ではそれなりに出回っていて、使用する方法も知識としては備わっている。
時折、珍しいスキルがニュースになることもあったし、それなりに高額なスキルブックを芸能人などが購入する(または、させられる)番組なども何度か見たことがある。
今までに発見されたスキルブックの中には、天文学的な価格で取り引きされたものも有るという。
オレにしても、入手したスキルブックについて、売却という2文字が、頭に浮かばなかった訳ではないが、これから先の世の中……果たして金銭に今と同等の価値が担保されるという保証は有るのか、
そもそもありふれたスキルなら、売却するよりは、更なるスキルブックを得やすくするために、自己の強化に使われるのが一般的だ。
とにもかくにも、何のスキルか確かめてから考えた方が良いだろう。
えーと……たしか…………あ、そうか。
背表紙の文字を見ながら
『照会』だとか『解析』
そんな感じの単語を念じれば良いんだったかな?
案ずるより産むが易し……ここは実際にやってみるに限る。
母国語で念じれば良いらしいのだが、ちょっとだけひねって……
『アナライズ』
照会とか、英語で何だったか忘れちゃったよ、もう。
どう考えても初見の文字のハズなのに、念じた後のオレには、背表紙の文字は【解析者】と読める。
【解析者】?
そんなスキルは見たことも聞いたこともない。
もしかするとこれは、かなりのレアスキルなのだろうか?
もちろん、単にオレが知らないだけということも有り得るが……オレには解析者というワードが何とも有用そうな響きに思える。
このスキルを習得したいなら……えーと、確か普通に読むようにして本を開けば良いんだったかな。
抗いがたい誘惑に
【解析者】
『解析によるスキル習得を自動実行する。スキル熟練度の向上率の上昇、および技能適性の拡大や能力成長にも寄与するが、本質的には、各スキルの
適当に開いたページ。
そこにはやはり見たことの無い文字が並んでいたのだが、不思議なことにスキルの説明文として読める。
どうにも難解な言い回しで書いてあるのだが、まるで砂山が水を吸い込むかのように、説明の意味が……スキルの使い方が理解出来てしまう。
これは……チート能力キタコレみたいなことだろうか?
オレは、思った以上に有用に思えるスキル習得を、誰に相談することもなく、サクっと決めてしまったことに、今さらながら冷たい汗をかいたのだった。
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