第8話
……刻々と各地の被害状況が明らかになるに連れて、オレには先ほどのコメンテーターの発言が、どうも信憑性が高い気がしてきた。
確かに、東京都区内や、大阪、横浜、福岡、札幌、名古屋、仙台、広島、京都、さいたま、川崎、千葉……大型かつ凶悪なモンスターの出現地域を列挙していくと、人口密度や発展度に関連性が高いように見える。
反対に、同じ地方、同じ都道府県、同じ市内などでも、良く言えば風光明媚な……そこに暮らす人の少ないエリアでは、さほど高位なモンスターは現れていないようなのだ。
都市部では、お台場に現れたレッドドラゴンに始まり、名古屋では翼を持たない竜種、グランドドラゴンが名古屋城を瓦礫に変えた。
他にも、サイクロプスだとか、ワイバーン、ベヒモス、トロル、グリフォン、土蜘蛛、ヒュドラ、ジャイアントワームの様な巨大なモンスターだとか、サイズこそ大きくは無いが、モンスターとしての格が高い、デュラハンだとか、ワーウルフ、コカトリス、バンシー、
災厄そのものといったモンスターの数々が確認されている。
人的被害はもちろん、破壊された建物や各種車輌、文化財など被害額も相当なものと推測されている。
反対に、お世辞にも都会と言えないようなエリアで出現が確認されているモンスターは、強いものでも、オークやオーガ程度に留まり、その被害も都市部に比較すれば限定的だ。
大半はゴブリンやコボルト、スライムやジャイアントリーチ(大きなヒル)等で、既に居合わせた者に駆逐されているケースばかり。
それでも奇襲を受けたり、そもそも荒事に慣れていない人が死傷したというニュースが後を絶たない。
強大なモンスターも、ダンジョン探索を
お台場で目撃されたレッドドラゴンも、たまたまダンジョン近くに発生したスライムも、その向かう先は最寄りのダンジョンであったらしい。
何らかの理由でダンジョン外に出現し始めたモンスターだが、まだダンジョンの外で活動し続けることは出来ないと見るべきなのだろうか?
それが、先ほどのコメンテーターが仮定した大気中の魔素量と関係しているとすれば、どうも
しかし……
「もしかして……発電所か?」
どうもオレと同じようなことを考えていたらしい父が、ふいにボソッと呟いた。
都市部に集中している高位モンスターの出現状況だが、明らかに例外と思える地域が有った。
例外とは、泊、女川、東海村、柏崎、
仮に魔石の利用で大気中に魔素が蓄積した結果として、モンスターの出現が起きているとするなら、確かに魔力発電所の付近は出鱈目な強さのモンスターが生まれ落ちても、何ら不思議は無いのだろう。
さらにそういった仮定を裏付けるのが、日本各地の観光地や大型の空港のあるエリアでの、凶悪なモンスターの目撃例だ。
そこを住まいとする人口こそ多いとは言えないが、人の往来、宿泊は非常に多いのだから。
……だとすれば、だ。
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