第34話 歴史史化と意識化
歴史化とは意識化なのか?
あまりに細部に入った歴史は、神話を破壊してしまう。歴史は記憶と地続きでつながる。歴史から伝承.伝説へも近い。地域的な、いわゆる国民的な、あるいは部族的な、親密でありかつ外には限りなく排他的なもの。
歴史に残る、共同体内の記憶に、時系列で固定された出来事を残す、ということの意味。
意識化、つねに構成員の洗脳をともなう。20世紀の「近代」国家では後者が顕著だった。近代軍隊を核とした怪物、旧ロシア、戦前ドイツ、日本あたりががそのあまりにあからさまな例か。
先進国のアメリカ、民主主義国アメリカは、限りなくオープンで「自由な女神」の仮面をかぶりつつ、その影の顔は果てしなく差別的で排他的だ。裏の顔は凶暴な裸の巨人で、その手には分厚い棍棒を携えている。
かつてアメリカ史に黒人とインディアンは「存在しなかった」。彼らは歴史でない場所、アメリカの無意識にいた。意識から閉め出されたはずの黒人とインディアンがあまりにアメリカ人の無意識には深く刻まれていることをユングは「インディアンと黒人の仕草がアメリカ白人の仕草に刻印されている」と言った。マルコムXはそれをアメリカの悪夢と呼ぶ。歴史はメイフラワー号から始められた。黒人は船底で鎖につながれていた。
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