ネット配信〜真実は小説より面白い

第23話 車内からの配信

　Smile starの純くんと真斗くんのスクショが、なんとか撮れていたのでTwitterに投稿した。

　だけど、流石にもうふたりは中村さんの配信には出ない気がする。次も稽古場からとは限らないし、わざわざ中村さんの配信にふたりを呼ぶとも思えない。

「配信観たかったー」と言うSmile starのファンの方が増えている。

「次も出てくれるとは限らないので、そのときはすみません」Smile starのファンの人からリプライが来るとそう応えた。

　キリコさんと、その友達の蘭さんと仲良くなり、キリコさんと蘭さんは、配信を観て、中村さんのファンにもなったと言ってくれた。Smile starを応援しているけれど、わたしと同年代だからか、中村さんの魅力に気付いたようだ。

　日曜日がまたやってきて、中村さんの配信が始まった。

　通知に気付かず、少しだけ遅れて入室すると、中村さんは車の中からの配信のようだ。運転はしていない、助手席に座り配信している。

　やはりSmile starはいないのか。コメントを読むと、また初期アバターが増えている。今日は純くんも真斗くんもいないのに来てくれて申し訳なかったな、だけど、中村さんのことも知ってもらえればいいなと思った。

「キャー純くんの声ー！」

「真斗くんも何か言ってー」

　えっ、どういうことなのだろう。ふたりの姿は見えない。

「後部席も写してください」

　そうか、後部席にふたりが⁈

「純くん、真斗くん、元気ですかー？」

　ふたりからはコメントは見えないだろうに。

「純くん真斗くん元気ですかー？って言ってるよ」

　中村さんがそう言った。どこまでも優しい中村さん。あなたは神様ですか？

「元気でーす！」

　しかし何故車の中なのだろう。

「今日はね、今からみんなで、ある場所へと向かっています」

　中村さんが言った。何処へ行くのだろう。

　突然画面が真っ暗に。そして声も聞こえなくなった。

　みんなで心配してて、丁度、Actor Dancersのメンバーのひとり、森川アキラさんという男性がリスナーとしてコメント欄にいた。

　常連さんが「アキラ、ピンチヒッター！」といい、アキラさんは「いや、いま何処かのお店に入ったみたいだから大丈夫だと思う。地下の駐車場じゃないかな」

「アキラ、何か喋って代わりに」

「えーっと、何話そう」

　わたしは、アキラさんの配信は観たことがほとんどない。人気があるので会話に入らないのだ。そしてやはり夜中の配信が多い。

「待ちましょう」

「待ってまーす」

　しばらくすると、中村さんの姿が現れた。

「今ね、ボーリング場だよ。みんなで約束してたからね」

　そう言いながら、洋服を脱いでいく中村さん。その姿までカッコいい。中村さんは何をしてもカッコいいのだ。

　ボーリングが始まった。

「純はボーリング下手よ」

　Smile starのファンがバラす。

　そこで配信は終わった。