第10話 推しを誰に
イベントのないときはいいのだけれど、4人がイベントに参加していると、いったい誰を一番に応援すればいいのかわからなくなる。
本当はひとりに決めないと全力で応援はできない。
以前あるグループの配信を観ていたが、イベントのときも全力で応援したことはなかった。なんとなく溜まった星を投げるとか、有料のギフトを投げて楽しんでいた。有料のギフトといっても、一個一円からあるので、一個一円のハートやダルマなどを投げて、配信者が喜ぶ顔を見て楽しんでいた。
10個投げても10円だ。たったの10円だと思うのか、10円もと思うのかは、人それぞれだとは思うけれど。
無料の星の方がポイントも高いのだけれど、有料のギフトは目立つので、たまに投げて、配信者の「おおーハートありがとう」とか「ダルマキター」とかいう反応を楽しむのである。
今回は、初心者のタレントさんなので、ギフト投げると「え、ダルマ、それはなんですか?」という反応。
「有料のギフトですよ」
「凄い。ありがとう」
いや一個一円なんですけどね。
拓也にもハートを投げると「ハートもらったの初めて」
と言われた。
「えっ初めてなの?人気者なのに」とわたし。
みんな初心者なので、わたしもそんなに詳しくはないのだけれど、教える立場になってしまうのだ。
リスナーの初心者にも同様である。
そしてギフトを投げると、後から配信者の人から、お礼のメッセージが届くことがある。
わたしも、これは知らなかったのだ。以前あるグループを応援していたときも、ギフトを投げていたけれど、一度もお礼のメッセージなどもらったことがない。
そのグループとはTwitterで繋がっていたこともあり、メンバーの中には気さくに話してくれる人もいるので、メッセージなどなくても、ギフト贈ったのに、などと思うことはなかった。
直人くんやジョニーからお礼のメッセージをもらった。
えーっ、こんなのあったんだとビックリしたし、仕様が変わったのかなとも思った。
直人くんには、Twitterでメッセージありがとうと言った。ジョニーのTwitterはまだ探していなかった。ジョニーの配信の時間も、なかなかわたしの暇な時間と合わないことが多かった。
ということで、夜の10時から配信が決まっている拓也のルームに行くことが多かったと思う。
申し訳ないな、そんな気持ちもいつもあった。
眠りのリズムも崩れていたので、変な時間に目が覚め、ついついオンライブの配信を覗いてみる。星集めを兼ねてだけれど。
夜中?朝方?の4時などは配信している人は少ない。ルームに入ると、名前を呼ばれた。
「さっちゃんいらっしゃい」
「なんか眠れなくて来てみました」
「ここは24時間やってるんですよ」
24時間??
「イベント中なのでね、劇団員みんなで交代でね。みんなから寝るな!って言われてるんですよ」
ある劇団の座長さんだとプロフィールにあった。フォロワーも多い。だけど夜中の4時なので、コメントしているのはひとりだけだった。
「もう誰を応援していいのかわからなくて」
「あ〜ありますよね。まぁ楽しくやればいいと思いますよ」
ついつい何かその座長さんに相談するみたいになってしまっていた。
「なんかいきなりきて相談に乗ってもらってすみません。フォローさせて頂きました」
「Twitterもフォローしてね。返すからね」
「はい。ありがとうございます」
「また星集めてきてね」
ですよね……。
そこへは二度と行ってはいない。時間とギガに余裕があれば、いろんなルームで話すのも面白いだろうなと思った。
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