第3話 ルーム訪問

 眼鏡を掛けてるプロフィール写真が気になり入室したのだ。入室すると、眼鏡を掛けてない童顔の男の子が居た。その子から入室して直ぐに「さっちゃんさん」と呼ばれたのだ。


「東方神起のファンなんですね」


 そう言われてまたビックリする。えっ、もしかしてアバターをタップして、わたしのプロフィールを見てるのだろうか。そんなことも今までされたこともない。


「こんにちは」


 配信者側から話しかけられて無視はできないので挨拶のコメントをした。


「僕もね〜けやき坂とか好きなんでライブとか行ってますよ」


 芸能人なのにオタクなのか?


「フォローしました。また来ますね」


 そう言ってわたしは退室した。それが18歳大学生のダンサー、ジョニーとの最初の出会いだった。


 一応フォローはしたけれど、見た目は素人の童顔の男の子、プロフィールをザッと読むと18歳の大学生と書いてあった。18歳の子と話しても会話にならないような気がする。とにかく長居をせずに、他のルームも訪問することにした。


 フォローをしていれば、スマホに通知が来るので、また配信があった時にいつでも行ける。気に入らなければフォローは外せばいいのだ。配信者には誰からフォローされたのかは表示されない。


 次のルームを探す。なんだかやけにプロフィール写真が大きくて目立つ人が居た。


 入室すると「さっちゃんさん」とまた呼ばれた。


 何かルールでも変わったのか?それに「さっちゃん」と呼びやすいように、さっちゃんという名前にしているのに、何故さっちゃんにさんを付けるのか?わたしはアグネスチャンさんか?と思ってしまった。


 まあ良い。呼ばれたからにはコメントをしなければならない。いや、ならないということはないのだけれど。


「初めましてー」


 しかし、プロフィール写真とは印象が随分と違う。プロフィールは黒縁メガネのイケメンで、モデルと書いてある。


 中の人はラガーマンのような人だった。


 タイプではない。そしてプロフィールの文章が長い。ザッと目を通していると、〇〇市在住と書かれてあった。なんとわたしの住んでいる場所だ。


「〇〇市在住?」


 思わずそうコメントしてしまった。


「そうです。大学が近くにあるので。〇〇市民です」


「えっ、わたしも〇〇市です」


「えーっ!そうなんですか?見かけたら声を掛けて下さい」


 いや声は掛けないけど、本当にびっくりした。またプロフィールに戻ると、事務所は東京ではない。


「今年の学祭どうなった?台風来たよね」


 嘘だと思われない為に地元の話をしてみた。久保田くんという配信者の人が通っている大学の話だ。


「中止になったんですよ」


「やっぱりね、毎年、学祭の花火が上がるの楽しみにしてたのに」


 まさかこんな話が出来るとは思ってもいなかった。それが久保田くんとの最初の出会いだった。





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