民俗部の日常
折田要
偉大なる不良ジジイからの手紙
小鳥の囀りが朝を告げる。
辺りが白い霧が立ち込めて見える先がそれほど遠い所まで見る事が出来なかった。春だというのに決して暖かくない朝。そんな朝を迎えているのは住宅街はずれの綺麗で少し高級感のある古民家風の小さな一軒家も例外では無かった。
「不良ジジイからか・・・」
起きて早々の第一声が「おはよう」では無く、「不良ジジイ」。
そんな呟きをこぼしたのは男子高校生の
男子高校生と分かるのは白いシャツに濃い群青色ブレザーを着てダークグレーのズボンを履いていた。少し緩めているが赤いネクタイもしていた。
そして、どういう訳か黒いキャップを被っていた。
斎は早速「不良ジジイ」からの手紙を開封する
「甘ったれ、か・・・」
手紙の内容は一応祝福の内容だった。
愛すべき甘ったれ野郎の孫へ
まず初めに
俺がこんな形での手紙を出したのは当然仕事だからだ。この手紙が届いている頃には俺は机の上で書類相手に狂ったように戦っているだろう。
その点ではお前に謝罪の言葉を贈る。
すまねぇ。
お前の学生姿、拝みたかった。
白原高校は俺の母校でもあるから良い所である事は保証する。
その学校は、明治の終わり頃に出来た学校だが最近新築したらしい。だから新しい校舎があるからそっちに行けよ。間違っても手前にあるレンガと木造の旧校舎に入るなよ。何でも今じゃ倉庫兼、奇人変人非常識人の巣窟らしいからな。
下手すりゃ拉致に近い形で入部させられるかもしれねぇからな。
気を付けろよ。
部活動は日本で最も多いと言ってもいい位多いだろうが、お前はお前なりに楽しめ。
あ、そうそう。今あるかどうか分からねぇが、旧校舎の東側の奥にかつて俺専用のプライベートルームがあったんだ。
もしあったらよ、そこ好きなように使ってくれ。部室の名前が「第三準備室」って名前だからよろしく。不法占拠とか言われたら適当な部活の名前つけりゃどうにかなる。
まぁ、とにかく楽しめ。
そして、改めてもう一度言う。
入学おめでとう。
虹色に変えろよ。
偉大なるテメェの祖父より
呆れる位のぶっきら棒な文章。
裏を返して見るが文章の部の字も無かった。
「もうちょっとマシな言葉を選べよ・・・」
そんな内容の手紙の感想は当然の反応だった。
斎は小さな溜息を付いて手紙を元の封に戻して自分の机の上に置き、玄関へ向かった。
「ありがとうな、ジィちゃん」
斎はそう呟きそのまま入学式に行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます