第1話 現れる三人の兄弟

「目を覚ましていたか…」

「あいつが、例の女…」

メルが頭上を見上げると、手すりの場所にまた別の声が響いていた。

一人が碧い瞳で、もう一人が血のように紅い瞳を持つ青年が立っている。

「貴方達は…?」

事態を上手く呑み込めていなかったメルは、首を傾げながら問いかける。

「へぇ…。人間の割に、色白だねぇ…!」

「えっ…!?」

右腕に冷たい何かが触れたと思ったメルは、驚く。

気が付くと、彼女の背後には茶髪の青年が立っていた。その青年がメルの二の腕に触れていた訳だが、そこで彼女は違和感を覚える。

 この青年ひと…手が、異様に冷たい…?

人懐っこそうな笑顔を浮かべる青年に対し、私は不信感を募らせる。


「!?」

一瞬瞬きをした直後、私は目を見開いて驚く。

「よもや、人間界のこのような場所に隠していたとは…。奴め、探すのに手間を取らせおって…」

先程までは頭上の手すり付近にいたはずの青年が、いつの間にか目の前にいた事に対し、私は驚いていた。

そして、金髪碧眼の容姿を持つ青年が、私に近づく。

私は無意識の内に後ろへ後ずさりをしていたが、背後に黒髪・紅い瞳を持つ青年にぶつかる事で、これ以上後ろへ下がる事ができなくなる。

「娘よ。我らと共に、来てもらうぞ」

青年の持つ碧い瞳が私を捉えた途端、全身に鳥肌が立つのであった。


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