第62話 散り散り(dust)

「 散り散り(dust)」


塵になりたい、塵にかえりたいと思うことは

 ありませんか。

かえりたい?あなたは既に塵ですよ、分解し

 ているかいないかのちがいだけです、あな

 たは毎晩こうして塵を摂っている、でもあ

 なたの体重が2倍3倍になっていくことは

 ない、巧妙に押し出しているんですね、わ

 かりますか、わたしが入れば、別のわたし

 が出ていく、さようなら、別のわたしは、

 他のあなたに入っていく、曼荼羅文様みた

 いに、だから、帰らなくてもいい、あなた

 もわたしも、既に塵ですから、塵であるこ

 とに誇りをもつ、何億という巨大なものか

 らわたくしたちまで、塵、塵、チリチリチ

 リヂリ

散り散りになるのが恐いんです。

じゃあ、ハグしましょう、どうですか?温か

 いですか?思ったよりも、あなたよ、塵で

 あることに熱を抱け、熱のまわりに塵をあ

 てよ

なんだか温かくなってきました。

これからどんどんと熱をつくっていきますよ

 くっついていきなさい温まりなさい、熱は

 ありがたいことに伝わるんですから

塵と塵をむすびつけてくれるんですね。

塵も積もれば、熱となる

ちょっと休暇をとって、彼方までいって、散

 り散りになった塵を、わたしのわたしを集

 めにいってきます。

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