第32話 ダンス(電荷)

「 ダンス(電荷) 」


手が握れないとかそういうことじゃない

汚れるとか汚染されるとか

そんなちっぽけな第三者の話しじゃない

これはわたしとあなたの話しで

だから当事者同士の話しで

わたしはあなたの手を握っている

あなたは素直に手を差し出して

手はいつものように温かく

いやきょうは少し冷たいか

そんなことじゃないが

わたしはあなたの手をしっかりと握る

あなたはわたしに指を絡めとられる

隙間があるんだほんとうに

いくら肌を密着させたところでわたしとあな

 たは混じり合うことができない

手だけではなくて

どこだって表面は電子がダンスを踊っていて

マイナス電荷同士で反発しあっている

そうやって握りあうなんて

信じない

信じたくはないけれど

それ以上にあなたと握りあうことはできない

でも隙間がどこまでいっても同じ川の流れで

 予想以上に続いていくのなら

あなたのメロディを聴くことはたやすいのか

 も知れない

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