第15話 池(existence)

「 池(existence) 」


それは空を切り取り沈めている

池の周囲は芝生が敷き詰められ

4方から池に迫っていたが

池は拒否しているようであった

( わたしは空と対面しているのであって

  垂直方向で横を向いていない )

曇った空には境目が無く

垂直方向に弱い光線が降りてくるだけだった

弱い?

曇っている?

池には波も無く

複数の虫が水面に跳ね返るように旋回してい

 る

唯一水面の境界を移動できるのは

アメンボという名の虫だけだった

( わたしは垂直方向に在るのであって

  横を向いていない

  何も言わずに去れ

  横からきた者たちよ )

長方形に切り取られた池の存在である

  

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