ある力学(詩篇だって、りっぱな方程式)

KIKI-TA

第1話 迷宮

「 迷宮 」


ジグザグと丘を上る道を歩いている そこはある樹木が密集していて 当然のこと そのなかに入り込むようにして上っていった それはとても湿度があった日のこと


ツクツクボーウシ、ツクツクボーウシと 単体で聞けば優雅に聞こえるその鳴き声も いわゆる冷やし中華に 麦茶でも飲んで聞いていれば 喉を通るその飲食でそれはとても優雅であろうに


そのときはあまりの蝉の密集で グツグツと煮えたぎる鍋の具材のごとく どこが

ツクで どこが ボウシなのかも 定かでなくなってしまっていて そういえば 

加熱の鍋のなかは熱エネルギーの増加によって分子運動はまことに活発になり それ故 グツグツ、グツグツと煮えたぎり ツクツクボウシもあまりの蒸し暑さのためか 制御できない分子運動のごとく ランダムにぶつかっているようであった


ついには 衝撃で地面に落ちるか 密集した樹木の塊から飛び出るか 方向も読めなくなってしまっている 密集した樹木全体が 煮えたぎる鍋のようであるなかを

ジグザグと丘を上る道を歩いている そこは ある樹木が密集していて 当然のこと そのなかに入り込むようにして上っていった

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