歌えない人魚は愛を求める

白ウサギ

第1話 朝から美少女

「やっちまった」

二日酔いで痛む頭を押さえながら現状を把握する。

「ふむ、とうとう俺も犯罪者か」

横で眠る少女にしか見えない少女が寒いのか体を起こした俺の腰に抱きつく。


「うぅ〜」

髪で隠れていたので髪をどかし顔を見た俺は現実と思いたくなくて

三度瞬きをした。


「どう見ても10代だな。犯罪確定な気がする」

心を落ち着け平凡な日常の最後を味わうことにする。

勿論少女は起こさない。俺にも色々心の準備がいる。


酒の抜けない寝ぼけ頭でテレビをつけるとニュースが流れていた。


「続いてのニュースです。海外でも活躍している人気グループ

 ディーヴァの深海明日香さんが突然の長期休養を事務所に

 申し出て受理されていた事がわかりました。事務所は詳しい内容を

 公表しておらず様々な意見が出ています・・・」


どこかのアイドルが休養を発表したらしい。まぁ事務所とトラブルとか

何かのスキャンダルだろう。

「そういえばなんか似てるな、この子に」

横で寝ている女の子の髪を直してやる。


「あ、おはようございます」

「うぉ、おはよう」


「あ、もうみんなにバレてる。事務所の社長さん何をやってるのでしょうか?」

隣で体を起こした女の子が頬を膨らまし、テレビを睨む。

俺はテレビと顔を膨らませ怒っている女の子を何度も見直す。

「私の顔に何かついてますか?」

恥ずかしそうに毛布を目元まで上げ、恥ずかしそうにする。

「えっと、本人」


「はい、あの、名乗りませんでしたっけ?」

彼女に言われて俺は昨日の事を思い出していた。


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