第4話 タッグポーカーの進め方
仮の王はゲームの説明を続けている。
「では、ここでファーストベット。自身のホールカードを確認し、行うアクションを決めてもらうよ。まずは仮の王(BB)の左隣のUTG(アンダーザガン)、今回は圭(ボブ)から」
そう言いながら、仮の王は圭に視線を流した。
アクションにはベット(チップを賭ける)、コール(賭けに乗る)、レイズ(賭けチップを上乗せ)、フォールド(賭けから降りる)、チェック(賭けをせずにパス)がある。
だが、既にSBとBBによって掛け金が支払われているファーストベットではチェックができなかったはず。
「このファーストベットの賭け上限は五枚まで。ベット、レイズの単位はファーストとセカンドどちらも一枚。レイズ額もベットの倍額以上である必要はないよ。
あとひとつ注意。
フォールドをする場合はチーム全体で行うことになるから。どちらかでもフォールドを宣言すればもう片方もフォールドしたことになる。すなわち、ゲームをチームで降りるというわけ。
むろん、それまでに賭けられたチップは帰ってこない。このチップがこのラウンドの勝利者、すなわち相手チームのものになる」
やはりタッグ戦である以上、タッグ相手の手札も考慮すれば……簡単にレイズやフォールドはしづらい。自身の手札含めた5枚だけ、残り二枚がブラックな状態でアクションを起こさないといけないのだから。
だが……圭たちにはバックに支援者がいる。胸元にあるペン型の隠しカメラに自分の手札を見せるように持つ。
『アリスはスペード2、ダイヤ7だな』
……現状ではブタ(ハイカード:ワンペア以下の役(役なし))だな。続いて自分の手札を見た。
『ボブはクラブ10、ハートクイーン』
すぐ次郎から森にも伝えられる。
コミュニティカードが「ハJ、ハ10、スA」。
ワンペアがそろっている状態。
ひとまず、様子見で動いてみるか……。
圭は「コール」の掛け声とともに、チップ二枚を支払った。
左回りで次はボタンを持つ田村がアクションを起こす。コール。
「SBは現状チップ一枚をかけているので、コールするかフォールドするか選べる。えっと森(アリス)? コール、フォールドの意味は分かる?」
「えぇ、それぐらいなら」
森は手札を確認し、「コール」とチップ一枚を差し出した。
「続いてBB。チップ二枚のままチェックするかレイズするかを選択。う~んとね……ひとまず、チェックかな」
仮の王は机に伏せて並べてある二枚の手札を再確認している。
そして、すぐ顔を上げた。
「じゃあ、カード交換に移行だね。SBに当たる、今回は森(アリス)から順に好きな枚数を交換。ディーラーに何枚交換するか宣言してね」
森はまず二枚すべてを交換した。続いて仮の王、同じ二枚とも交換。
続いて、圭の番。
とりあえず、クラブ10以外のもう一枚を捨て、山札から新たな一枚をもらう。来たのはハート3。次郎から森にもこのカードを伝えられる。
ちなみに、現在の森の手札はスペード10、ダイヤキングとのこと。……10のスリーカードになった。これはいい。
最後に田村が伏せて並べてある二枚を確認したあと、一枚だけ切る。そして新たな一枚を引いた。これで全員の手札交換が終了。
「ではセカンドベットへ。今度はSBからアクションしていく。ここでの上限は十枚」
初めてベットされることをオープニングベットといい、ここではチェック、ベット、フォールドが選択肢になる。ベットされた後は、コール、レイズ、フォールドが選択肢になる。
最初のベットとブラインドを合わせて最大で一人十五枚、二人合計三十枚、チームのチップが移動するわけだ。
初期チップが百三十では……下手に大賭け繰り返せばすぐ息が切れる。慎重に行うことに越したことはないだろう。
オールインこそないが、全部で百枚程度の所持チップで三十は結構な割合か。
森は手札を確認、チップを前に突き出した。
「ベット、二枚」
仮の王の手番、アクションはコール。
続いて圭の番。
こちらにはスリーカードの役がそろっている。田村も一枚のみのカード交換をしているのだから奴らもワンペアは初手で既にできていたのだろう。
やはり初戦、ここは様子見でコールしておくか……いや、違うな。初戦だからこそ……、ハンデがある今だからこそ……強気で言ってみるか……。
かといって相手がフォールドしない程度に。
「レイズ三枚」
圭はチップ計五枚をポットに投げ入れた。続いて、田村もそれにコール。レイズされたことにより、アクションは続く。
森、そして仮の王がコールしたことにより、5枚賭けでゲームが成立。
「これでベッティングは終了。最後はショーダウンね。
本来ならレイズした人からオープンして、それ以外の人はマック(手札を公開せず降りる)可能だけど、これはタッグ戦。
二人の手札を合わせて初めて役が決まるから、勝敗がどうなろうと全員手札を公開してほしい。ただし、相手がフォールドした場合は公開する必要はなくなるけどね。マックしてくれていいよ」
ボタンを持つ田村を合図に全員一斉にショーダウン。手札がさらけ出される。
圭と森のチームは10のスリーカード。対して……相手は……
コミュニティカードありのジャックのスリーカード。
ランク差で、圭たちの負け。
「わたしたちの勝ち。チップ十五枚がわたしたちのチームに流れる」
ファーストベット二枚とセカンドベット五枚がふたり分、それと森のSB分の一枚。この十五枚が向こうのものとなる。
これでチップは115対115。ハンデは一瞬でチャラになってしまった。
にしても、幸先わるいな。初戦がスリーカード同士とか……想像できるか?
いや、公開カードが10とジャック、エースだったんだ……。公開カードの中ではランク差が一番低いのが圭たちのスリーカード。
可能性として考慮に入れておくべきだったか……とにかく、気を入れ替えよう。
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